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ITツールはどう売るべきか 顔と名前を一致させる『カオナビ』の一点突破力

マネジメント効率をアップさせるクラウド人材管理サービス

連載
ASCII STARTUP 今週のイチオシ!

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1000社導入でデファクトスタンダートになることを目指す

 カオナビの提供価格は、100ユーザーまでは月額3万9800円(税別)。最大で21万9800円となり、その先はまたオプションサービスとなっている。

 「最初は価格感がわからず、金額設定はやっている間に自然とそうなった。取締役の佐藤(カオナビの佐藤寛之氏)と話して、営業から1~2ヶ月でクロージングできる価格体系でやっていこうと決めた。顔写真のマネジメントソリューションはブルーオーシャンなので、導入スピードが重要。いかに早くお客さんを獲得したかが勝負で、我々に先行優位性がある」(柳橋氏)

 2016年11月現在、『カオナビ』のサービススタートから4年半が過ぎたところで340社に導入されている。直近で目指すのは1000社の導入だ。

 「1000社に導入してもらえれば、収益的にも安定するし、デファクトスタンダードになれる。BtoBのサービスはある程度広まると、みんな使ってるからそれでいいよ、と考えずに導入してくれるようになる。まずはそこまで行くというのが戦略」

 営業戦略としては、完全にプルマーケティングを採用。メディアに露出し、問い合わせが来たところにアタックしていく。

 「我々は、プロダクトビジネスなので、こっちがどう言うかがすべて。そのためお客さんに『どう言うか』というチューニングはものすごく行った」

 結果、契約数は増え、従業員1万人オーバーの企業までが顧客となった。サイバーエージェントから日清やメルカリまで幅広い企業に利用されている。たとえば、牛丼の吉野屋を展開する株式会社吉野家ホールディングスでは、社長が店長会議に参加する際、スマートフォンで『カオナビ』を使うという。各店舗の店長の顔と名前、情報を頭に入れておくのだ。

 もちろんあくまで一例だが、名前で話しかけられるというのはコミュニケーションの基礎としてとても重要だ。カオナビを導入することで、離職率が低下した、という声が寄せられることもある。特に対面でのマネジメントを重視する介護や保育といった業界では重宝されはじめているそうだ。また、ビジネス以外の領域ではラグビーU20日本代表といったスポーツ分野や、学校法人にも導入され始めている。先生が生徒を把握する、理事長が先生を把握する、などニーズが多い。

 開発で大変なのは、顧客の要望をいかに取捨選択して製品に反映させるかと言う。

 「インターネットのサービスは出した時点では60点でいいが、改善をいかに効率よく的確にやるかによって、ゴールが変わってくる。そこは、プロダクトの発案者でなければできないと思う。自分は、営業から開発までやっていたので、バランス感覚があるから判断できる。特に、社長でなければできない重要な仕事としては、捨てること。使ってない機能は切らなければ駄目。機能は存在するだけで開発者はメンテナンスしなければならないし、使ってなくても営業はお客さんに聞かれたら、説明しなければいけない」

 もともとは柳橋氏自らの発案だったが、顔写真を装飾する機能やPCのウェブカメラで撮影した顔写真を登録する機能などはどんどん切られていったという。

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