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スピーディー末岡のドライビングプレジャー! 第3回

クルマ好きの憧れ! 国宝級スポーツカー「日産 GT-R」をドライブ!

2016年11月19日 15時00分更新

文● スピーディー末岡/ASCII 車両協力●日産自動車

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なんと570馬力! 世界中からターゲットにされる
GT-Rの最新モデルをなぜかアスキーが乗っちゃった!

 2007年にカルロス・ゴーン氏の肝いりで華々しく復活した日産 GT-R。この年の東京モーターショーは今でも覚えている。発表と同時にグランツーリスモのゲーム内でもアンベールされたのだ。そして数々のマイナーチェンジを行ない、気がつけば長寿モデルになっていた。最初は700万くらいだった値段も、今回乗った最新モデルで1000万越えである。

 今年の3月にビッグマイナーチェンジが発表された2017年モデル。その最新最良のGT-Rをお借りしたので乗り心地などをレビューしたい。今回も基本的には一般道、そしてちょっと首都高を走った。

 試乗したのは「GT-R Premium edition」。お値段は1170万5040円(税込)と、これまで乗ったクルマに比べれば安いが、先ほども述べたように最初は700万円台だったことを考えると、かなり値上がりしている。当然ながらテクノロジーも安全性も上がっているのだが。

 スペックを見ると、エンジンはV型6気筒、3.8リッターのツインターボで四輪駆動。最高出力が570PS/6800rpm、最大トルクが65kgf・m/3300-5800rpm。パワーは第1回で紹介したポルシェターボにも匹敵する。しかし、お値段はポルシェターボの約半額なんだから、ちょっとオトクな気がしなくもないが、気のせいだろう。

 サイズは全長4710×全幅1895×全高1370mmで、車重は1770kg。見た目どおり大きく、そして重い。動きが鈍そうではあるが、電子制御とパワーで軽快に走ってくれる。なお、SUPER GTでもGT-RのGT3バージョンが走っているが、レースカーにありがちなペッタンコではなく、ずんぐりむっくりだけど、やっぱり速い。

 一般道を走ってみると、その扱いやすさに驚く。なぜこんなに運転しやすいのだろうと考えてみると、アクセルのレスポンスが軽いからだ。ポルシェもメルセデスもアクセルペダルは結構重く、踏み込むにはある程度の踏力が必要だった。しかし、GT-Rは日本車だからか、そのへんはとても優しい。おかげでアクセル開度をキープしやすく、街中だとマーチのように乗れてしまうのだ。ブレーキの効きも非常にマイルド。ガツンと効くのではなく、踏み込めば踏み込むほどジワーっと減速するので、カックンブレーキになりにくい。もちろん、すぐに止まりたい場合にはドンっと踏み込めばキュっと止まってくれる。サーキットと街中だとキャラクターが大きく変わるだろう。

ミラーはそれほど大きくない

テールランプはGT-Rのアイデンティティ!

空力を考慮して、ドアの取っ手はボディーと一体化しているデザイン

タイヤは前が255/40ZRF20、後ろが285/35ZRF20と、前後ともに20インチだが後輪がやや太い

 GT-Rの主戦場はサーキットなのだが、街中でパフォーマンスを堪能できないかと言えばそうではない。車内にあるセットアップスイッチをイジることで、クルマの特性を大きく変えることができるのだ。スイッチは3つあり、デュアルクラッチトランスミッション、ビルシュタイン製DampTronic電子制御式ショックアブソーバー、VDC-R(ビークルダイナミクスコントロール)の制御状態を瞬時に変更できる。簡単に言うと、駆動系、足回り、横滑り防止の特性を3パターンから変更できるのである。

 すべてを「R」に入れると、そのままサーキットで走れるパフォーマンスになり、乗り味や操作性がかなりスパルタンになる。これでしばらく一般道を走ったが、正直かなり疲れてしまった。エンジン回転数を上まで引っ張るシフトタイミングになり、足回りはガチガチ、電子制御の介入は最小限になる。燃費は悪くなるし、乗り心地は悪い。ただ、サーキットでは速いだろうと容易に想像ができる。

 また、Rモード限定で「Rモード発進」ができるようになる。これは停車時からとんでもない速度で発進加速できるモードで、マリオカートのロケットスタートを想像してもらえるとわかりやすい。サイトには「ムチ打ちなどに注意して正しい運転姿勢で云々」と注意書きがしてあるほど強烈なモードらしい。筆者はビビってやらなかったのだが、編集部三宅がチャレンジしたところ「脳が崩れんばかりの加速だった」と供述している。景色が止まる加速のようだ。

フロントフェンダー近くにもGT-Rのエンブレムが!

ボンネットは凹凸のついたデザインで、大きくないエアダクトもある

ヘッドライトのデザインは初代からさほど変わらないが、ややシャープになった

 スイッチをコンフォート寄りにすると、とんでもなく乗りやすくなる。これがニュルブルクリンクのレコードホルダーか! と思うほど。多少ロードノイズはあるが、路面のギャップはほとんどショックアブソーバーが吸収してくれる。セダンに乗っているかのような快適性だ。セミバケットシートもちょうど良いホールド感で左右のGも気にならない。スピーカーはBOSE製なので、好きな音楽を良い音で聞くこともできる。しかも4人乗りなので、ファミリーカーとしても使える……と言いたいところだが、リアシートはポルシェターボと同じくらいの狭さで、身長180cmオーバーの編集部フジ君が乗っていたが、首が折れそうだったという。

編集部三宅のGT-Rレビュー


 思ったよりも乗り心地がよくて、でもとんでもない加速にやられました。

 570psのGT-Rであるから、年々街乗りしやすくなったというレビューを見つつも「それなりの硬さなんでしょ?」と予想していたけれど、跳ねる感覚もなく、道路工事をしている一般道でも快適に乗れたのが意外。セットアップスイッチでサスペンションをコンフォートにするとさらに乗り心地がよくなって、普段乗りで不快に思うこともないくらい。

 ギアをオートマチックにしておけば、早めのシフトアップで6速1000~1500回転くらいで走れるため、エンジン音も静かで、GT-Rに乗っているとは思えないほど。トルクがたっぷりなので、坂道でもそのまま滑るように進むなど、ちょい乗りでも構えることなく運転できた。

 では、高速ではどうかということで、サスペンションをノーマルに戻して首都高C1をグルっと回ってみると、道路の繋ぎをほどよく吸収して、まったく緊張なく曲がりくねったジャンクションを進んでいけるし、普段乗っている車よりも気楽に操舵できる不思議なくらいの安定性。

 そこから川崎に向かい、アクアラインを通って木更津方面へ。ほぼ直進の道で海風を受けながらの高速巡航だったけれど、風のトンネルをくぐるように直進していった。館山自動車道をとおって東関東自動車道に出てからは窓を開けみたが、風を巻き込むことがないので空力のよさが感じられた。

 高速の合流や料金所を越してから、少し強めにアクセルを踏んでみると、その加速っぷりはすさまじいものがあり、強力な力で前に引っ張られているような背中を蹴飛ばされているような、感じたことのない加速度を楽しめた。ギアの繋ぎも驚異的に早いので、ほんの数秒だけの楽しみだけど、あまりに魅力的。

 子供のころにポルシェ904や917の絵を描きまくって、アスキー入って即911を買ったくらいポルシェ好きなので、スカイラインは永遠のライバル。だけど今回乗ってみた感想は……欲しい、欲しすぎる。いまやスカイラインとGT-Rは別だしね。うわぁ頑張ろう。


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