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1000兆個/sのニュートリノも撃ち出すぞ!!

大強度陽子加速器施設J-PARCの陽子ビームは世界一ィィィ!

2016年11月12日 12時00分更新

文● 林 佑樹(@necamax) 編集●北村

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基礎研究を並行で行なえる
ハドロン実験施設

 MRから陽子ビームを受け取る施設その1であるハドロン実験施設。MLFが産業向けの研究中心であるのに対して、ハドロン実験施設は複数の基礎研究を効率よく行なえる施設である。

 ハドロンとは、強い相互作用で結合した複合粒子のことで、2つ以上の素粒子が結びついた粒子のこと。ただハドロンのうち、陽子や中性子はその辺に多くあるのだが、中間子やΛ粒子などは地球上で自然に生じておらず、2次宇宙線の中に存在している。

 効率よく実験するために、陽子ビームを金属製ターゲットに当てて、人工的に必要なハドロンを作り出し、質量の起源や中性K中間子稀崩壊探索実験、ハイパー核の性質を探るなどをしている基礎研究の場という覚え方でいいだろう。

 なおハイパー核は、通常には存在しないクォークを含む原子核のこと。Λハイパー核やΛΞハイパー核ダブルΛΞハイパー核などがあり、音読するとテンションがアップする不思議ワードでもある。とりあえず「だぶるらむだくすいーはいぱーかく!」と唱えてみよう。

 内部はというと、大半が遮蔽体の中にあり、一部の実験室が露出しており、遮蔽体の隙間を移動するような感じで通路が形成されていた。

 ステキな空間なのだが、取材時は時間の関係もあってごく一部を駆け足で巡っただけであり、正直、なんだかスゴイところ、ホイストがデカくてカッコイイで頭が止まってしまっているので、また機会を作ってウロウロしてみたい。

遮蔽体が目立つ施設。内部にはビームラインがあるのだが、どんな構造になっているのか、とても気になる

天井にある起重機が巨大

K1.8ビームラインから入射される粒子を精密に測定するSKSスペクトロメータ。分解能が高く、ハイパー核の分光実験もしている。取材時は検出機器は外された状態だった

K1.8BRビームラインは、パイ中間子やK中間子、反陽子などの観測したり、K中間子をターゲット内に静止させて利用する実験をしたりしている。泥くさい実験環境でステキ

測定器。KEKにあるBelle測定器の小型版のようなものなのだそうだ

測定器周辺を上から見たところ

acerのPCがあった。養生テープにOSアップデートやメモリー増設タイミングが書いてあり、自宅のPCを見ている気分だった(自作PCファンの一部には、PCケースに養生テープを貼って、更新メモを残す派もいるハズ)

移動中は写真のような光景が続いたのだが、急に機器が出てくるので楽しかった

スパコンにデータを送る前にアナログ信号をデジタル信号に変換する場所。ASCII.jp読者には見慣れた光景である可能性が高そうだ

COMET実験の準備も進んでいた。同実験は、ミューオン原子を作り、ごく稀にニュートリノではなく、決まった運動量の電子がひとつ放出される「ミューオン-電子転換過程」の探索を目的としている。写真はミューオン輸送ソレノイド磁石で、長さ7m

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