その安曇野市が、同社のVAIO Zをふるさと納税の返礼品に選定したのは2015年6月のこと。Yahoo!ニュースに取り上げられたこともあり、「一晩で160台もの申し込みがあり、予想以上の大反響に驚いた」(安曇野市・宮澤市長)と振り返る。
その後も、継続的にVAIOのPCを納税返礼品として用意。2015年度だけで1591台もの申し込みがあったという。
それまでは600万円前後で推移していたふるさと納税額は一気に膨れ上がった。
だが、政府は今年4月、PCなどの換金性が高い商品をふるさと納税の返礼品にすることを自粛するように各自治体に要請。安曇野市のVAIOもその対象になった。
ところが安曇野市の宮澤市長は、「VAIOは安曇野で技術開発を行ない、安曇野で生産し、市にも貢献している。田園産業都市を掲げている安曇野市にとって重要な企業。地場で生産されたものからお返しをするという国の方針に反するものではない」とし、2016年度も引き続きVAIOを返礼品として用意。今年度はこれまでに420台の申し込みがあったという。
「昨年よりも申し込み件数が少ないのは、総務省からの通達が影響していると考えている」としながらも、「業務の生産性向上に加えて、教育分野や日常生活でもVAIOを大いに活用してもらいたい」と語る。
VAIOは、海外向けにはブラジルおよび米国で展開を行なっていたが、アルゼンチン、チリ、ウルグアイにも販売エリアを拡大することを新たに発表した。
ビジネスパートナーとして、ウルグアイではMUSFER.S.A.と、アルゼンチンではInformatica fueguina S.A.とそれぞれ提携。昨年9月からブラジルで展開しているPOSITIVO INFORMATICA S.A.との提携と同様に、VAIOから許諾を受けた現地メーカーがVAIOの商標をつけたPCの製造、販売、サービスを行なう形態としている。
VAIOの赤羽良介執行役員副社長は、「ブラジルで行なっている仕組みは、POSITIVO INFORMATICA S.A.が主体となり、VAIOは、そこからライセンスフィーを得ているというもの。このビジネスを成り立たせるためには、VAIOの製品やブランドをしっかり理解してもらい、我々と同じ気持ちでビジネスをしてもらう必要がある。こうしたことができるパートナーと組むことが前提であり、ブラジルでの取り組みによって、その手法が正しいことを確認できたともいえる。今回、その実績をもとに海外展開を拡大することになる」とする。
安曇野市の宮澤市長はこうした取り組みを評価しながら、「地域に密着した企業に、ぜひ世界に羽ばたいてほしい。VAIOは、来年度には、第3の事業と呼ぶ、新たな事業を開始するということも聞いている。VAIOの今後の展開にも期待をしている」と語る。
田園産業都市を目指す安曇野市にとって、世界で戦うことができる製品を生むVAIOは、これからも重要な企業であることに変わりはない。
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