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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第126回

新世代のブログシステム「Medium」に入門する

2016年08月06日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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面白い、Mediumの仕組み

 多くのブログサービスを使う場合、ブログという“枠”ありきで考え始めます。ブログのタイトルを考え、デザインを作り、さあ1本目の記事を投稿しよう、という勢いが必要です。

 もしもブログにテーマを決めてしまったら、そこに合わないテーマの記事を格納することには抵抗感が生まれます。あるいは、そのテーマに合わせたブログを作ったほうがいいのではないか、そのテーマの記事を今後も書き続けるだろうか、と悩むことになります。

 Mediumは、そうした書き手が書く前に抱える葛藤をスキップしてくれるのです。Mediumアカウントを作ると、プロフィールページができます。Mediumで書く記事は基本的にそのプロフィールページに蓄積されて行く仕組みです。この点はTwitterや他のSNS系のサービスと同じです。

 そのため、1本だけかもしれないけれど、思いついたことを書きたいという場合は、Mediumアカウントを開設して、すぐに新しい記事を書くだけで良いのです。

 その上で、「パブリケーション」という記事の単位が存在します。これが、今まででいうところのブログ、枠に相当します。1つの記事は1つのパブリケーションにしか所属することはできません。しかし同時に、自分のプロフィールページにも表示され続ける仕組みです。

 このことから、枠を考えずに記事にフォーカスして書き始め、まとまってきたらパブリケーションを作って記事を分類する、というスモールスタートが可能なのです。

読み書き一体の体験に興味

 Mediumには、Twitterのように、フォローの関係性があります。その人をフォローするだけでなく、パブリケーション、そしてタグのフォローも可能です。つまり、書き手や枠、テーマという3つの単位で記事を追いかけることができるようになるのです。

 加えて、Mediumのウェブサイトやアプリでは、記事のレコメンド(ハートマーク)、レスポンス(コメント機能。しかしこれも、自分が書いた記事としてプロフィールページやパブリケーションに入る)、ハイライトといった機能があります。特にハイライトは、誰がどこに注目しているのかがわかり、記事の重要な場所がすぐにわかります。

 このように、情報を発信するだけでなく、記事を読み合う、という感覚を上手にブレンドしている点は、筆者がこれまで利用してきたセルフパブリッシングツールとの違いと言えるでしょう。そして、この体験に、とても興味があります。

 米国では、既存の新聞社や雑誌社が、ウェブメディアと並行して、あるいは丸ごとMediumへ移行する、といった動きも出始めています。コンデンストに買収された「The Back Channel」(https://backchannel.com/)は、Mediumベースでウェブマガジンを構築しています。

海外では商業媒体がMediumに移行する動きも

 今後Mediumは、現在テストしている書き手やメディアの収益化のプログラムを走らせていくことになり、より大きく注目を集めるタイミングが訪れるでしょう。この点については、自分ごととして、筆者も注目しています。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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