無駄な部分を見せない、優れたデザインのヒンジ
もう1点「HP Spectre 13-v000」のデザイン的な特徴として挙げられるのが、外側からは駆動機構がまったく見えない新設計のヒンジを採用している点だ。
ノートPCの場合、液晶ディスプレーと本体をつなぐヒンジがむき出しになっているのが一般的だが、「HP Spectre 13-v000」では液晶ディスプレーを閉じるとヒンジの存在感がまったくない。一見するとクラッチバッグのようにも見える、スッキリとしたデザインだ。
またヒンジ周辺部分が、ブロンズゴールドの鮮やかな光沢を放っているのも印象的だ。一見するとハデなようにも見えるのだが、本体全体を見渡すと不思議にマッチしている。
ヒンジ周辺部は、電気分解によってアルミ表面に酸化被膜を生成させる(アルミ表面を溶かし、溶けた部分を皮膜に変化させる)着色アルマイト処理を行なった上で研磨し、ブロンズゴールドの色合いを実現したもの。メッキ処理のように思う方がいるかもしれないが、そちらはアルミニウム表面に他の金属による膜を付着させる表面処理にあたり、「HP Spectre 13-v000」で採用しているアルマイト処理とは異なる。
アルマイト処理を行なうと、アルミ表面はハチの巣のような微細な六角形の集合体が形成された状態になる。着色は、これら細かな穴に染料を染み込ませるなどの手法で行なっているため、塗料による印刷やめっき処理と違い、はがれ落ちるなどの心配がないのだ。
また、ちょっと気が付きにくい点なのだが、ヒンジ周辺部分の角はエッジが立っている点にも注目していただきたい。手前側のダークグレーの部分が丸みを帯びているのに対して、奥のブロンズゴールド部分は非常にシャープで、デザイン的に対比させていることがわかる。そしてそのシャープな角からゆるやかな曲面を描いてダークグレーの部分へとつながわるわけだが、接合面で高度な加工が施されている。と言っても見た目はあくまでもシンプルなのだが、ふたつの異なる素材を(わずかな段差はあるものの)ほぼ段差がない“ツライチ”(面一)で仕上げているのは見事というしかない。
液晶ディスプレーの色合いをチェック
液晶ディスプレーのサイズは13.3型で、最大解像度はフルHD(1920×1080ドット)だ。ディスプレー面すべてをガラスで覆い、ベゼルのないフラットな仕上げが印象深い。液晶表面は光沢のあるグレア加工で、光の映り込みはそれなりにある。だが視野角が広いIPSパネルを採用しているので、光が写り込まないように液晶ディスプレーの角度を調整しても、画面が見えづらくなることはない。
映像についてはそれほど明るいわけではなく、輝度が抑えられているように感じた。またコントラストも若干抑えめで、やや青みが強い。ただし普通に使うぶんには気になるレベルではないだろう。
ストロークは浅めだが、しっかりとした打鍵感がある
キーボードはテンキーなしの84キー構成で、標準的な日本語配列を採用している。日本HP製のノートでは左右のカーソルキーが大きく上下のキーが小さいものが多いのだが、「HP Spectre 13-v000」では逆T字型の配列を採用しており使いやすい。キーピッチは約18.7mmで、ほぼフルピッチ(19mm)の十分なサイズが確保されている。
キーストロークは約1.3mmだ。それほど深いわけではなく、どちらかと言うとやや浅め。だが入力時にカクっとしたクリック感があり、確かな手応えがある。打ち心地については好みが別れると思うので、実機に触れる機会があったら確かめておくといいだろう。本体がこれだけ薄いため、強く押し込むと多少たわみが生じるものの、実際に使ってみた限りではまったく気にならなかった。