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業界人の《ことば》から 第204回

SIerから異業種のつなぎ役へ、日本ユニシスの大きな転換

2016年07月12日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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新たな取り組みも

 「日本ユニシスは地味であるとか愚直であるとか、誠意のある社員が多いと言われる。これは顧客を第一に考えて最後までやり抜くことの大切さを若い時から徹底されてきた結果であり、今後も忘れてはいけないことだと考えている。だが、裏を返せば、言われていることをやるだけの会社ともいえ、Foresight in sightはこれまでの日本ユニシスのイメージからは遠い言葉である。顧客の要求を待って、それに対応していくという姿勢を見直し、社会や業界の動向を見て、事前に準備をしていくことが大切である」

 そして「私が変えることは社会課題に向けて、お客様や新たなパートナーとともに、時代の変化に呼応できる価値創造を目指し、未来を先回りした研究、ビジネス創造に取り組んでいくこと」だとする。

 たとえばビジネスプランコンテストの「テックプランター」に協賛し、オープンイノベーションに挑戦したり、SMBC日興証券やユーグレナインベストメントなどとともに、民間事業会社だけで構成される日本最大の技術特化ファンド「リアルテックファンド」に参画したり、三菱東京UFJ銀行などとともに、事業創造のための開発拠点「デジタルビジネス・イノベーションセンター」を設置したりといった動きも開始している。これも新たな日本ユニシスへの転換には欠かせない取り組みだと位置づける。

 さらにはリバネスとともにヒューマノーム研究所を設立し、健康経営分野にも進出。平岡社長自らが日本ユニシスのCHO(チーフ・ヘルスケア・オフィサー)に就任し、脳科学や再生医療などの研究にも踏みだし、この領域においてIoTプラットフォームやビッグデータ、人工知能などを活用。「健康が当たり前の社会において、人間はどうあるべきかといったことまで研究を行なう」という。

企業はもちろん、大学とも連携して経営を進めるヒューマノーム研究所

 この分野においてはすでに慶應義塾大学先端生命科学研究所と一緒になって、子供向けの腸内細菌実験教室を、山形県鶴岡市の鶴岡メタボロームキャンパスで開催するといった取り組みも開始している。

知財を再活用する重要性も訴えていく

 一方で「これからも変えないこと」としては日本ユニシスの顧客第一のDNAを維持しながら、新たな価値創造に向けた取り組み、新たなパートナーの発掘などを掲げる。

 「いままでのビジネス経験によって蓄えた知財をお互いに連携させるとともに、リユース(再活用)する重要性を社内に向けて口酸っぱく言っている。アイデアソンやハッカソンの開催、新たな発想でビジネスを主体的に実行するための人財育成プロジェクト、女性ならではの視点や発想を生かすダイバーシティにも継続的に取り組んでいく」とする。

 平岡社長は目指す姿として「日本ユニシスは新たな地位を築くために、変革を進めていく。成長するデジタルエコノミー領域で、異業種をつなぐ新たな価値を提供し、ビジネスエコシステムの創造を通じて、将来的にはビジネスエコシステムの中核となり、未来のビジネスシナリオを描くフロントランナーへ成長していく」と語る。

スライドではたびたびエコシステムの重要性が説かれる

 2017年度を最終年度とする中期経営計画「Innovative Challenge Plan」では、成長戦略の「デジタル/ライフイノベーション領域の拡大」、「ビジネスICTプラットフォーム領域の変革」に加えて「企業風土・人財改革」などの重点戦略を掲げている。

 そして2017年度には連結売上高で3200億円、営業利益は170億円、営業利益率5.3%を目指す。

 「システムをお守りするシステムインテグレータではなく、社会課題を解決するエコシステムを提供する会社になりたい」と平岡社長。新社長体制のもと、現在取り組んでいる中期経営計画は、日本ユニシスの新たな立ち位置を模索する道程であることがより鮮明になったといえる。

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