ソフトによって明暗がハッキリと分かれる
次はOpenGLベースとなる「DOOM」でテストした。マップ“ファウンドリー”の一定コースを周回する際のフレームレートを「Fraps」で計測する。画質はプリセットの“ウルトラ”をベースに異方性フィルタリングを最大(x16)に設定している。
このゲームでも総じてCF-Xの方がフレームレートが落ちる傾向がみられた。ただ今後Vulkanバージョンがリリースされた時には、この傾向が変わる可能性もあり得る。
DirectX11ベースでCF-Xが効果を発揮したゲームとして「ウイッチャー3 ワイルドハント」による検証結果を掲げておきたい。同ゲームは処理の重いNVIDIAの“HairWorks”が使われているが、今回は無効化した上でテストしている。
画質設定は“最高”をベースに、環境閉塞(アンビエントオクルージョン)の項目を最大となる“HBAO+”に設定。フィールド上の一定のコースを移動する際のフレームレートを「Fraps」で計測した。
GeForce系と相性の良いゲームであっても、CF-Xが効果を出せるゲームもある、という好例となったが、RX 480 CF-X構成の性能はGTX 1070のやや下程度となった。
原稿執筆時点ではRX 480×2とGTX 1070の価格は近いが、ゲームを選ばず確実に性能が出せるのは間違いなくGTX 1070の1枚差しだ。
RX 480 2枚差しでGTX 1080超えは嘘ではないが
そこに至るロープはあまりにも細い
以上手持ちのゲームでざっくりと試した限りでは、RX 480の2枚差しでGTX 1080を超えるのはハッタリではないことがわかった。しかしGTX 1080を超えられるゲームは極めて少なく、むしろフレームレートが悪化するケースもみられた。
ゲームがマルチGPUをサポートし、さらにゲームおよびドライバーがRadeonに十分最適化されているという極めて細いタイトロープを渡り切ることができる一部のゲームのみが、GTX 1080を超えられる。現状ではどんなゲームでも期待できるものではない。
さらに消費電力の面でも、RX 480のCF-X構成が392Wなのに対し、GTX 1070は206W(ともに3DMarkの“Fire Strike”デモ実行時にWatts Up? PROにて測定)と不利になる。
RX 480を1枚で運用し、後から同じカードを買い足してグレードアップ、というのは現時点では非現実的なソリューションと言わざるをえない。
もちろん今後ドライバーの熟成やゲーム開発側の技術向上により、Ashes of the Singularityレベルのゲームが増える可能性も残されている。
もともとRX 480(Polaris)は積極的にGPUトレンドを追わないライトゲーマー向け、言い方を変えれば今後数年これで勝負したいゲーマー向けの製品である。つまりRX 480の2枚差し環境の評価には時間がかかるということだ。そのうち発売される「BattleField1」や「Civilization VI」でのパフォーマンスに期待したい。
もちろんRX 480の真の力が解き放たれる頃には、ライバルNVIDIAが次世代アーキテクチャー、いわゆるVoltaでさらに上をいっている可能性もある。2枚差しによる性能向上はロマンとして頭の隅っこに置いておく方がいいだろう。
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