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T教授の「戦略的衝動買い」 第382回

表紙から罫線まで全部手作業! ツバメ史上初の革製「ツバメ・ダ・ヴィンチ手帖」

2016年06月08日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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罫線は希少な職人さんが手作業で引く

昨今主流の5~6インチクラスのスマホと一緒に持ってピッタリ

昨今主流の5~6インチクラスのスマホと一緒に持ってピッタリ

ブラウンの伝統的電卓である「ET66」とほぼ同じサイズ

ブラウンの伝統的電卓である「ET66」とほぼ同じサイズ

 でき上がってきた商品の外形寸法は縦138×横80mm(筆記頁は133×75mm)と片手で持つベストサイズ。身近なものでは各社の5~6インチクラスのスマートフォンやブラウンの電卓とほぼ同じ大きさだ。片手でスマホと一緒に持つこともでき、スーツやジーンズのポケットにも楽々入る。

 本文には伝統的、かつ高品位で、目に優しいクリーム系のフールス紙を使用した。そして大きな特徴である方眼紙の頁は通常のオフセット印刷ではなく、日本にたった一人しかいない希少な“罫引き職人”が特殊な形状の“丸ペン”を多数並べた特殊な“罫引き機”を用い、精密な罫引き作業を行なっている。

特殊な形状の「丸ペン」を罫線幅に合わせたスペーサーをかまして罫線を引く

特殊な形状の「丸ペン」を罫線幅に合わせたスペーサーをかまして罫線を引く

連結した丸ペンで大きな紙に罫線を90度角度を変えて二度引くとマス目になる

連結した丸ペンで大きな紙に罫線を90度角度を変えて二度引くとマス目になる

インク壺から染みだしたインクが丸ペンの外周に着き、その下を紙が通過することで罫線を引く

インク壺から染みだしたインクが丸ペンの外周に着き、その下を紙が通過することで罫線を引く

全面に罫線の引かれた大きな紙は、乾燥後、90度角度を変えて2回目の罫線が引かれる。その作業が終わればやっとマス目ができ上がる

全面に罫線の引かれた大きな紙は、乾燥後、90度角度を変えて2回目の罫線が引かれる。その作業が終わればやっとマス目ができ上がる

 大きな裁断前のフールス紙を使って、最初にX方向(横軸)に罫線を引き、次に90度回転させて、今度はY方向(縦軸)に引き、両方引き終わるとやっと5mm方眼紙が完成する。

Thinking Power Notebook専用の薄いブルーインク「Thinking Blue」

Thinking Power Notebook専用の薄いブルーインク「Thinking Blue」

 方眼の罫線には2008年の初代のノート以来使っているThinking Power Notebook専用に調合した薄青の水性インク「Thinking Blue」を使用している。

 縦横2回の罫引きから乾燥まで、希少な職人の時間と手間をかけて丁寧に行なっている。水性のThinking Blueインクは、一般的なオフセット印刷に使われる油性インクとはまったく異なり、紙面に万年筆インキなどで筆記した文字や図版も、罫線の油成分にはじかれることなく、思い通りの心地よい筆記が可能となっている。

脇役であるはずの罫線は一切主張せず、ユーザーの筆記を引き立たせる

脇役であるはずの罫線は一切主張せず、ユーザーの筆記を引き立たせる

8分冊に分けて作られるツバメ・ダ・ビンチ手帖の本文(内容ページ部分)

8分冊に分けて作られるツバメ・ダ・ビンチ手帖の本文(内容ページ部分)

 製本に関しても専門の製本職人が、手間をかけて8冊の山(分冊頁)に分けて別々に縫合し、最終的にそれら8冊の分冊をまとまった一つの本のように組み上げ製本している丁寧さだ。

 そのため、ツバメ・ダ・ビンチ手帖は強度を確保した上で、本文のどこでも完璧に水平に開くことができ、自由に開いた左右の紙面のどこにでも、ごく自然に定規で線を引いたり、描き込むことができるのだ。

革職人が手作業で一枚一枚裁断してつくる表紙

どこでも水平にページが開き、定規で2ページにまたがった線も引ける。主張しない自然なカラムシのしおりもすべて職人の手作業でできている

どこでも水平にページが開き、定規で2ページにまたがった線も引ける。主張しない自然なカラムシのしおりもすべて職人の手作業でできている

 ツバメ・ダ・ビンチ手帖の雰囲気を壊さないように、しおりとして高級な麻の原料となる新潟県産の「苧麻」(カラムシ)を使用している。

しおりの形になる前のカラムシ。水に浸したり乾燥させたり、事前の作業も一杯だ

しおりの形になる前のカラムシ。水に浸したり乾燥させたり、事前の作業も一杯だ

 カラムシのしおりは、水に浸したり乾燥させたりと、時間と手間をかけて手作業で紙縒りとして編んだものを使用している。極めてナチュラルで強靭、長寿命のカラムシのしおりはツバメ ダ・ヴィンチ手帖にはピッタリの仕上がりとなっている。

 手作りによる高品位と使いやすさに加えて、ツバメ・ダ・ヴィンチ手帖は、手帖の開け閉め時の強度保全のため、見返しや背巻きの取り付けにも十分配慮されている。

 本文の紙面はページをめくる時の指先にも優しい角丸断裁処理を行ない、すべて一冊一冊、製本職人が極めて丁寧に作り上げ検査したものだ。

革職人が大きな革から革表紙のベースを切り出しているところ

革職人が大きな革から革表紙のベースを切り出しているところ

分厚い革では重くなったり、表紙がめくりにくかったり、いろいろな操作上の不都合が起こるので、表紙として扱いやすく、かつ見栄えのいいサイズまで薄くすく作業を、マイクロメーターで厚さを計りながら繰り返す

分厚い革では重くなったり、表紙がめくりにくかったり、いろいろな操作上の不都合が起こるので、表紙として扱いやすく、かつ見栄えのいいサイズまで薄くすく作業を、マイクロメーターで厚さを計りながら繰り返す

手帖の表紙として折り返す周辺部分はより薄く、専用の機械ですく作業を繰り返す

手帖の表紙として折り返す周辺部分はより薄く、専用の機械ですく作業を繰り返す

でき上がったツバメ ダ・ヴィンチ手帖の表紙の革。これから台紙に貼り付ける

でき上がったツバメ・ダ・ビンチ手帖手帖の表紙の革。これから台紙に貼り付ける

 特徴ある外観を決定づけるツバメ・ダ・ヴィンチ手帖の革表紙は、使えば使うほど、柔らかくエイジング効果の現れる大理石模様をしている。数多くの革の中から選んだごく少量の貴重な革である「リップル」を採用している。そして同じものは2つとない。

 リップルは専門の革職人が手作業で一枚一枚裁断し、革が十分に柔らかく、かつ表紙として十分な強度を保てる薄さまで手作業で加工する。表紙となる表面全体や淵のヘリ返しの厚さをマイクロメーターで計りながら、薄く漉く作業を繰り返して丁寧に作っている。

別途カットした両面テープの台紙を包むように周囲を折り返して革表紙を貼り付ける

別途カットした両面テープの台紙を包むように周囲を折り返して革表紙を貼り付ける

台紙に貼り付けた革表紙の周囲を織り込んでいく作業を周囲の4辺に行なう

台紙に貼り付けた革表紙の周囲を織り込んでいく作業を周囲の4辺に行なう

折り返した表紙裏側のコーナーは工具でつまんで折り重ねてきれいに仕上げる

折り返した表紙裏側のコーナーは工具でつまんで折り重ねてきれいに仕上げる

最終的に折り返した表紙の裏側のコーナーを木槌で叩いて固める

最終的に折り返した表紙の裏側のコーナーを木槌で叩いて固める

ツバメノートと製本職人のところででき上がった本文に革表紙をつければ90%は完成だ

ツバメノートと製本職人のところででき上がった本文に革表紙をつければ90%は完成だ

 そして、手帖の表紙や裏表紙をめくると、上下の2ヵ所のコーナーに角丸形状をしたアールのきざみがあり、ヘリ返しの革を細かく刻むような細かな処理も革職人が一冊一冊、最適な工具を使って丁寧に手作業で仕上げているのだ。

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