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ドローンを“ドット化”した空中ディスプレイ 21世紀の夢は「空き地」から始まった

2016年04月25日 13時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita) 取材● みきーる

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はじまりは1通のメールだった

 「Sky Magic」計画がたちあがったのは2014年12月23日。渡辺社長が高城剛氏に打った1通のメールが始まりだった。当時の渡辺社長は「未来を具現化する」なら今しかないと感じていた。渡辺社長の人生に訪れた、3度目の「未来」だ。

 渡辺社長は10歳のころ初めてパソコンにふれた。BASICでゲームをつくり、「いつかコンピューターが世界を変える」と子供ながらに感じた。大学生のころ初めてインターネットにふれ、子供のころコンピューターに受けた感動がよみがえるのを感じた。コンピューターが全世界でつながることで、今までの100倍、1000倍の変化が起きるだろうと。2つの「未来」はいずれも現実になった。

 そして今、インターネットとスマートフォンが普及したあと、3度目の「未来」が見えてきた。インターネットが現実空間に飛び出す世界。今まで画面の中にしか存在しなかったバーチャル空間が、現実の姿を変えはじめる世界だ。

 高城剛氏のメールマガジン読者だった渡辺社長は、高城さんに熱いメールを送信した。高城氏から「休日なら会える」という返事を受け取った社長は、3日後の天皇誕生日、誰もいない渋谷のオフィスで高城氏と初めて顔を合わせた。

 アドテク企業としてのねらいはもちろんある。インターネット広告の次にあるものだ。マイクロアドの商品であるアドテク技術はアドネットワークと自動広告枠取引。インターネット広告業界全体は画面=デバイスの数に依存しており、スマートフォンが普及しきったいまでは、収益が大きく増える見通しは見えない。

 「アドテクというのは結局、サイバー空間の面とデータ。それはすでに行き渡ってきて、細分化してしまっていて、伸びしろはない。データとしても空間としてもリアルワールドに行くべきだと考えたんです」(渡辺社長)

 アドテク企業がリアル空間に入っていこうとした例は多い。GPS信号やBLE信号を受発信するビーコンによる位置情報プロファイルを取得・使用するものだ。しかし「そんなもの面白くない」と渡辺社長はドローンを選んだ。

 高城氏が渡辺社長と共感したのは、ドローンに1990年代のコンピューターと同じ、熱い空気を感じていることだったという。

 「ぼくはドローンを空飛ぶマシンと呼んでいるんです。空飛ぶ新しいデバイスが出てきたと。スマートフォンやパーソナルコンピューターと同じように、ドローンの使い方にはあらゆる可能性がある。それに、ドローンメーカーはまだ限られた数しかない。昔のコンピューター業界に似ているんですよ。1986年、世界中のマックユーザーは知り合いでした。その人たちが集まるのがマックワールド。同じように、いま世界中のドローンで何かしようと企てているやつは、お互い認知しあって腕とアイデアを磨いている」(高城剛氏)

 ドローンに夢を見た2人はまず自分たちのビジョンを形にしようと、コンセプトビデオの制作をはじめた。そこで高城氏が声をかけたのが、スマートLEDフットウェア「オルフェ(Orphe)」を手がけていた菊川裕也氏だった。

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