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「ふるさとテレワーク」は地方を救うか!? 第8回

すべての企業に想像してみてほしい

田澤由利氏に訊く「ふるさとテレワーク」が絶対必要なワケ

2016年04月25日 06時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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「ふるさとテレワーク」が必須な理由

 「ふるさとテレワーク」が必要と考えるのは、こうした企業の人材にまつわる問題を大幅に解消してくれるからだ。

 その内容に応じて「ふるさとオフィス」「ふるさと勤務」「ふるさと起業」「ふるさと採用」という4つの類型が提唱されている「ふるさとテレワーク」だが、例えば「ふるさと勤務」では、「子育て・介護を理由に地方へ移住する社員が、テレワークで勤務を継続する」。子育て・介護が生じたとしても、サテライトオフィスや実家での在宅勤務で東京の仕事が行えるなら、離職せずに済むというわけだ。

ふるさとテレワークの4つの類型

 女性の離職では、やはり「保育園が見つからない」パターンが想像しやすい。ところが「ふるさとテレワーク」なら、保育園の待機児童問題さえも低減できるという。

 「『保育園落ちた』問題で国が動くというニュースを見て思うのは――。私自身、3人の娘がいても保育園のおかげで働き続けられたので、保育園を増やし、働きたいのに働けない女性を1人でも減らすのは最優先施策である。ただ、待機児童マップからも分かるように、この問題って都市部に集中してて、郊外・地方には待機児童がほとんどいない自治体も少なくない。それどころか子ども不足で閉鎖する施設もあるくらいで」。

 「ではなぜ、待機児童は都市部に集中するのか。答えは簡単。『仕事が都心に集中し、東京や首都圏に住む人が多いから』。東京一極集中をなんとか解消しないと、一時的に保育園を増やしても、待機児童問題はなくならないと思う。そのためには『東京の仕事を地方でも行えるようにする』。それが長期的な解決策だと考えている」(田澤氏)

 男性の場合も同様だ。介護で実家に帰る場合も、子育てのために地方へ移住する場合も、東京の仕事が継続できれば仕事を辞めなくていい。さらに田澤氏が自然の中で子育てができたように、首都圏で働く人にとって、“故郷の距離”がぐっと近くなるのだ。実際、北見市の実証ではこんな話があったという。

 「北見出身で、大学卒業後ずっと東京で働いている女性がいて、これまで帰省しても2~3日だったのが、今回のサテライトオフィスを利用することで、1週間仕事を休まずに帰省できた。それだけじゃなく、仕事終わりに母親とショッピングや外食ができたらしく、『働き始めてからずっと東京だったので初めてのこと。ものすごい親孝行になった』と喜んでいた」(田澤氏)

人材確保の新たな手段に

 人材確保の面でも「ふるさと採用」が可能になる。東京では技術者不足が叫ばれ、中小企業はやっと採用できても引き抜かれてしまったり、人材確保・維持が難しい現状がある。そこで地方にサテライトオフィスを作り、テレワークで東京の仕事が行える環境ができれば、人材競争率の低い地方で、定着率の高い人材採用ができるのだ。

 田澤氏は「わざわざ地方で採用するメリットがあるのかと思うかもしれないけど、これから確実に人材不足となる中で、東京で出社できる人だけ採用するのではなく、例えば、週1回や月1回だけ出社して、あとは地元で暮らしながら働いてくれる優秀な人がほしいという企業が増えている」と語る。

 また、障がい者雇用にも着目している。「厚労省の法定雇用率もあって採用したいけど、東京にはなかなかいないという企業からの相談も多い。一方で、地方には車いすで外出しにくくてもPCスキルの高い人は結構いて、でもやっぱり会社に通えないから就職できないという人がいる。地方で在宅勤務ができればこのギャップも解消できる」(同氏)

 これからの社会の状況と、それに対する「ふるさとテレワーク」の効果を、想像してみてほしい。少なくとも「テレワーク」による柔軟さがないと、これからの時代、突発的な人員の欠如に対応できなくなっていくだろう。

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