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全日本ギャルゲー研究所 第3回

【全ギ研】記事を読む前にこのギャルゲーをポチっても後悔しません【18禁ギャルゲー】

2016年04月23日 19時00分更新

文● 全ギ研所長ミナミダ

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喜怒哀楽の「物語」が楽しめる骨太なシナリオ

 少しわかりにくいので説明しますと、ギャルゲーは「ヒロインと主人公の間」という非常に狭い範囲しか描写されない作品が多く、作品によっては、複数ヒロインがいるのに選んだルートのヒロイン以外は文字どおりゲーム内から“消滅する”こともしばしば。ある意味ライトノベル的な、人物設定とキャラの掛け合いで成立させている作品が数多く見受けられます。

見た目はかわいいメイドさんですが……

 これはこれでキャラの描写にフォーカスしているとも言えるのですが、先述したように複数ヒロインがいる場合はキャラがその作品の世界から消滅(もしくは埋没)したり、選んだルートによってキャラの性格がコロコロ変わったりします。キャラが一貫していないと、プレイヤー側からすると不自然さや世界観のブレが気になるのです。特にマルチエンディングのギャルゲーは繰り返しプレイが前提のため、その違和感がますます強まります。

 『あけいろ怪奇譚』は、古き良きギャルゲーが現代に蘇ったとしか表現できないほど、作り込まれた世界観が逆に新鮮に感じられる逸品です。軽~く「世界観」と書いてはいますが、手軽な登場人物どうしの掛け合いや独白だけで世界観が生まれたら、おそらく世の中のクリエイターは誰も苦労しません。

 本作のすばらしい点は、分岐ルート先のわずか1シーンのために背景や人物カットを描き起こしたり、どのシナリオ分岐でもメインストーリーを登場人物全員を駆使して描写するといった非常にカロリーの高い仕事の積み重ねが、揺るぎない世界観として結実していることです。それぞれのルートの描写で大きなメインストーリーを展開していく手腕は、近年ではなかなかないレベル。複数のヒロインが登場してそれぞれのストーリーが展開しますが、その間も他のヒロインたちは埋没することなく、生き生きと作品世界の中で生活しています。

 そしてもうひとつ、本作には今となっては懐かしいシナリオ分岐の「フローチャート」がアップデートで提供されたことです。ひとつのグリッドに複数の分岐がキチンと埋め込まれており、ゲームの攻略だけでなく「なぜそのルートに至ったか」というストーリーの確認にも役立ちます。場面場面を切り取ったような作品も多い昨今、キチンとプレイヤーに見せたいストーリーがあり、それをフローチャートで遡れるようにしたことで、作品を通して描かれる本作の世界観がより鮮やかに感じられます。

フローチャートはスクロール操作を要するほどのボリューム

 内容に関してはほぼネタバレになってしまうため書けませんが、登場人物は全員非常に魅力的で、喜怒哀楽が散りばめられたシナリオは読み進めるのが楽しくなります。そして、すめらぎ琥珀さんによる美麗なイラストはもちろん、全体のグラフィックにおける塗りのクオリティーもトップレベル。全体的にはホラーですが、ショッキングな場面は少なめ。先述したとおり一貫した世界観であることで各シナリオ間の違和感もなく、もの悲しかったり楽しかったりと映画を観ているような感情のジェットコースターが味わえます。

 ガラにもなくマジメに書き連ねてしまいましたが、DOS環境~Windows初期の数多くの名作ギャルゲーがもっていた「物語」が、ようやく同ブランドの『なないろリンカネーション』で再び芽吹き『あけいろ怪奇譚』で華開いた、という印象です。もちろんはじめてのギャルゲーとしてもオススメ。2本まとめてゲットしてもまったく後悔しないこと請け合いです。パッケージを他人に見られられたくない? ご安心ください! DMMさんがダウンロード版をご用意されていますっ!

もちろんギャルゲーならではのムフフシーンも豊富に用意されております

あけいろ怪奇譚

メーカー:シルキーズプラス

DMM.R18(18禁サイト)ダウンロード価格:7400円

 七不思議のひとつである『旧校舎の幽霊』に呪い殺された生徒のウワサをきっかけに展開する学園怪奇譚。アップデートで提供されるフローチャートにはナビゲーション機能も搭載。圧倒的なシナリオ量も注目です!

Image from Amazon.co.jp
あけいろ怪奇譚

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