11ac対応無線LANルーターはどこに置くのがベストなのか!?
それではまず、11ac対応無線LANルーターは実際のところ宅内のどこに配置するのがベストなのかというところを、それぞれの製品を試用しながら考えてみよう。
自宅内のアチコチで使うスマホを念頭に置いて、各所でネット接続時の速度を計測してみたい。計測した筆者宅は下の図1のような間取りで、基本的には仕事場に無線LANルーターが配置されている。
ここに今回試用させていただいた製品(NEC「Aterm WF1200HP2」、エレコム「WRC-1167GHBK3-A」、バッファロー「WSR-1166DHP2」、ASUS「RT-AC1200HP」、アイ・オー・データ機器「WN-AX1167GR」「WN-GX300GR」)を「親機」として配置し、5つの計測ポイントでネット接続速度を計測した。
子機はIEEE 802.11a/b/g/n/ac対応の「Nexus 5」で、インストールした「Speedtest.net」アプリを使って上り下りの速度を計測。iPhone 6での計測も考慮したが、一部の機種に搭載されている「ビームフォーミング機能」の影響を考慮し、非対応スマホにて計測することにした(ビームフォーミングに関しては第3回の記事を参照していただきたい)。
なお、唯一の非11ac機であるアイ・オー・データ機器「WN-GX300GR」では、2.4GHz帯の11nで計測した。そして親機の位置を宅内のほぼ中心に移動して同様に5地点で計測してみた。表内の数値の単位はMbpsで、5回計測の平均値を記載している。
ポイント1:仕事場にて計測
ポイント2:居間にて計測
ポイント3:トイレにて計測
ポイント4:バスルームにて計測
ポイント5:寝室にて計測
筆者も意外なぐらい各製品でそれほど大きな差の出ない結果となったが、やはり宅内の中心に配置したほうが、各所での通信速度の低下が抑えられる結果となった。
11acの通信については、もちろん親機に近いところで速度が出ており、筆者宅での通信速度のほぼ上限まで達している。
もっと速度の出るネット回線を使っているならこれ以上の結果となるだろう。とはいえ、筆者宅程度の規模なら中心でも隅っこでも11acではそれほど大きな違いはないのがよくわかる結果だ。
最近の無線LANルーター製品はパッケージや製品紹介ページに「使用する居住地の規模」みたいなものが付加されていることが多いが、それを信じればまず問題なく使えるということになりそうだ。
11n(2.4GHz)の通信においては、居住空間の中央に置いてあるほうがより確実に安定する結果となった。そういう意味でも、子機側が11acに対応しているなら、11ac無線LANルーターを選択するのがベターだろう。
また、今回は単一のスマホ(Nexus 5)で計測しているが、子機側の仕様でもまた異なる結果となるかもしれない。かつてPC+USB子機の組み合わせで同様の計測を行なったことがあるが、その際は製品ごとになかなかのばらつきがあった。
あまり“相性”という話で済ませたくはないが、確かに親機と子機の間で相性問題はありそうだと予想したものだ。それに比べると、今回チェックした製品たちとスマホの組み合わせであれば、少なくとも実用的な速度は出ることがわかった。
なお、360コネクトがウリのアイ・オー・データ機器「WN-AX1167GR」「WN-GX300GR」については、タテ置きヨコ置きなど配置を換えて計測してみたものの、あまり顕著な結果にはならなかった。
筆者宅はごく一般的な広さのマンションなのであまり意味がなかったのかもしれないが、より広い家、または2~3階建ての一戸建てであれば、1階に置いた同製品とその他の製品とで差が出る可能性がある。機会があればいずれ検証してみたい。