筆者環境のインターネット接続は100Mbpsを上回れない
もう1つ、インターネット接続を前提で考える場合、無線LANルーターのWAN側の事情も実際の通信速度に影響する。インターネット接続サービスにも色々あるが、宅内までギガ回線が来ている光サービスもあれば、光回線だけれども集合住宅なためにVDSLタイプのサービスもある。
また、CATVやVDSLを利用している人もいるだろう。今でもADSLを使っている人だっているかもしれない。ともかく、それぞれのサービスに無線LANルーターを接続したときのスループットが重要になってくるのだ。
つまり、無線LANルーターがインターネットにつながっているとき、WAN側の通信速度が100Mbpsしか出ないとなれば、子機側からネットに接続した場合に無線通信は11acだからかなり速度が見込めでしょ? と思っても、実際にネットに接続したときに100Mbpsを上回るのはムリ、ということになる。
さらに、肝心のインターネット接続サービス自体速度も考慮に入れる必要がある。筆者宅には2回線のインターネット回線が引かれている。1本は「auひかりマンションタイプ」。VDSL方式で上り下り共に理論値100Mbpsだが、有線ルーターを兼ねているVDSL終端装置にPCを有線接続して速度を計測すると下りが35Mbps前後、上りが25Mbps前後。
もう1本はマンション設備として敷設されている「CYBERHOME」という接続サービス。マンションにFTTH回線を引き込み、共用部のルーターから各戸の各部屋へ有線LANが配線されている。いわゆる「マンションLAN」というやつだ。
通信速度は100Mbpsとされているが、部屋の片隅にある情報コンセントのLANコネクターへPCを直接接続してみると、上下とも約95Mbps前後の通信速度となる。
ということで、筆者の環境では、11ac対応の無線LANルーターがどう頑張っても100Mbpsを超える通信速度でネット接続することはできない、ということになる。
というわけで、検証の前に理論値でもメーカー発表実測値でもない、自身の環境に応じた実測値というのは意外に重要なのだ、というお話をさせていただいた。
以降はこれを踏まえて筆者の環境でミドルクラス無線LANルーターのネット接続時の実行速度を計測した検証結果である。
なお、インターネット接続時の速度計測には基本的にSppedtest.netを利用。スマホでの計測でも同サービスの提供する計測アプリを使っている。