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VIA Technologies、JapanTaxiと協業し車載PCを開発

2016年03月18日 19時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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車載専用の改良を加えた
AMOS-825の特徴

 続いて、Cody世羅氏により、AMOS-825の説明があった。AMOS-825そのものは、NXPの1GHz駆動のi.MX6 Quad(Quad Core Cortex-A9)に1GBのDDR3メモリーと16GBのeMMCフラッシュ、それとさまざまな周辺回路を搭載したボードを収めたファンレスシステムである。

VIA Technology Japan株式会社エンベデッド事業部プロダクトマネージャーのCody世羅氏

 ボードの構成的にはVAB-820にかなり近いが、ストレージの容量とかCAN I/Fの搭載など違いもあり、VAB-820をベースに開発したJapanTaxi向けスペシャルといった趣である。

 そのAMOS-825は、JapanTaxiからの要望を受け入れるための製品である。具体的な内容は下記のとおり。

動作温度が最初のポイントで、本体は0~60度対応だが、表示部はより広いマイナス20~70度対応となっている

  • 夏場にダッシュボードに置いても熱暴走したりシャットダウンしない。
  • 車の電源(ACC)を切っても(例えばアイドリングストップのためにオフにする)、数分間はシステムが動き続ける。
  • さまざまな周辺装置(メーター、プリンター、決済機など)を接続できる。
  • Androidをベースにするが、カスタマイズが必要。

 こうしたニーズを満たすものとしてVIA側がAMOS-825のシステムを提案したという経緯があったそうだ。 ちなみに当初は前モデルであるAMOS-820を提案したらしいが、いろいろと要望がJapanTaxi側からあり、これを受けてカスタマイズしたモデルがAMOS-825となるようだ。

 特徴としては、AMOS-820のパネルと比較するとわかりやすいが、以下の違いが見られる。

AMOS-820のパネル。液晶が別売で、汎用的なものを接続する前提なので、HDMIが用意されている

AMOS-825のパネル。液晶がセットになっているという点もAMOS-820とは異なる

  • コネクター類が整理され、液晶パネルは25ピンのSCSIマルチコネクターを流用する形でまとめて接続可能。
  • 電源範囲が12Vのみから9~36V可変になり、さらにACC入力も用意された。
  • 不要なI/F類が排除され、またUSBは車内での振動での脱落防止のためロック付きとされた。
  • 内部にWiFi/BTとGPSモジュールも追加され、このアンテナを直接接続できるようになった。
  • 液晶ディスプレーが前提になった。

 下の画像が実際のパッケージであるが、本体はダッシュボードの下、あるいはグローブボックス内に収め、このケーブルでダッシュボード上に置かれた液晶ディスプレーと接続する形になる。

AMOS-825のパッケージ。マニュアルには明記されていないが、液晶側の電源もこのケーブルでまとめて供給される模様。ちなみにシステム全体の消費電力は平均7Wである

 なお会場には他にも、AMOS-825の元になったVAB-820や、x86ベースのAMOS-3005ARTiGO-A820スマートHMIタッチパネルスターターキット(本国での名称はMobile360 HMI Touch Panel Starter Kit)などが展示されていた。

VAB-820。ここでは全面がヒートシンクで覆われているのでさっぱりわからないが、VIAの製品ページ(http://www.viatech.com/en/boards/pico-itx/vab-820/)にはヒートシンクを取ったレイアウトが示されている

AMOS-3005。こちらはWindows 7/8/8.1/10もサポートするなど、普通のPCとしても利用可能。搭載されるのは1.2GHzのクワッドコアEden X5で、それにChrome 640 GPUが搭載されている。ストレージは未搭載で、mSATAが1ポート用意されている。消費電力は平均19Wなので、ファンレスとしてはかなりぎりぎり

ARTiGO-A820。産業向けIoTゲートウェイ。1GHzのDual Core Cortex-A9のi.MX 6DualLiteを搭載する

スマートHMIタッチパネルスターターキット。タッチパネル(右奥)と液晶(右中)は汎用品で、手前の基板がスターターキット

 ちなみにCody世羅氏に後で話を聞いたところ、全体の出荷金額ベースでは、まだx86ベースのシステムの引き合いの方が大きいそうだが、新規案件の数(業界用語ではDesign Winの数)は圧倒的にARMベースが多いそうである。

 実際今回のシステムもARMベースでないと意味がないわけで、今後はこうした組み込み向けもx86+Windowsの構成から、ARM+Linux(もしくはAndroid)という方向にシフトしつつあることをうかがわせるものだった。

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