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業界人の《ことば》から 第186回

小さな企業は下請け・孫請けという常識を崩す

赤字はわざとと語るサイボウズが次に注力するkintone革命

2016年03月08日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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Kintoneが中小企業の常識を変える

 サイボウズの事業は、着実に成長している。

 クラウドサービス「cybozu.com」の有料契約者数は、1万3000社を突破。クラウドビジネスの構成比は、売上高は全体の39%を占めており、「2016年度は、単月でクラウドビジネスが過半数に達することになるだろう」とする。

 大手企業への採用が加速しているほか、基幹系システムとしての導入も増加しているという。また、米国や中国での実績もあがり始めている。

 「米国からは、2005年に一度撤退したが、そのときには、あまりにも焦りすぎたこと、日本のやり方がそのまま通用すると考えたことが失敗の原因だった。だが今度は違う。日本発グローバルソフトウェア企業への挑戦を本物にしたい」と語る。

 とくに、2016年に力を注ぎたいとしているのが、情報共有アプリ基盤「kintone」だ。

 2月29日時点で、3945社の導入実績を、2016年度上期には5000社以上へと拡大。さらに、期末には6000社以上への導入を目指すという。

kintone

 青野社長は、「2016年は、Kintoneビジネスを充実させる1年になる」と位置づけ、「『Kintone革命』によって、多重下請け構造を変革したいと考えている」とする。

 kintoneは、開発プロセスを大幅に削減できるのが特徴だ。要件定義や仕様書作成、検収などを不要とし、さらにクラウドの強みを生かして、ハードウェアの調達、セキュリティー環境の構築といった手間も削減できる。

 「ユーザーの要求を聞き、その場ですぐに開発し、それを利用してもらって、さらに改善を加えるといった繰り返しによって、ソリューションを短期間に開発できる。kintoneを使うことで、規模の小さい会社でも、直接、大手顧客とやりとりができるようになる。小さな企業は、下請け、孫請けにならなくては仕事がない、という常識を崩すことができる。業界の大きな課題となっている多重下請け構造を崩すことができる」と語る。

掲げるKintone革命は3つ

 「作っても楽しい、使ってもうれしい環境が実現する」と、青野社長はkintoneの魅力を訴える。

 「私はいま44歳だが、残りの仕事人生をkintoneにかける。その姿勢は変えない」と青野社長。サイボウズにとって、2016年は、kintoneの事業成長が重要な鍵になりそうだ。

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