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過去最大の赤字から

シャープとの家電統合は暗礁、東芝の白物は海外へ売却か?

2016年02月08日 11時30分更新

文● 大河原克行

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PC事業売却は二束三文と言わざるを得ない

 東芝メディカルシステムズの売却益による改善のほか、資産売却なども視野に入るが、噂されるPC事業の売却による利益計上はほとんど見込めない。室町社長も、「PC事業の売却益は期待していない。利益が出たとしても、東芝メディカルの売却益に比べて、非常に低いのは確か」と語る。

 2005年にレノボがIBMのPC事業を買収した際の最終的な買収金額は、17億5000万ドル。現在の為替換算で2100億円となる。現在の東芝のPC事業の規模はそれよりも大きいが、いまやそれだけの価値はない。二束三文と言わざるをえない状況だ。

 それでも、PC事業再編に向けた道筋が立とうとしていることは幸いだ。

 「一時は海外メーカーとも話し合いをしたが、いまは、海外メーカーへの選択肢の可能性は低くなっている」と述べ、富士通およびVAIOとの再編が有力であることを示唆する。

 一方で、白物家電事業の再編に関しては、イエローシグナルが灯ろうとしている。

 室町社長は、「公表している構造改革を確実に実行しつつ、他社との事業再編に向けた検討を加速させているところである。2月末までには、なんらかの方向性を伝えたい」とし、この1ヵ月で、再編の道筋に決着をつける姿勢を示すが、その一方でシャープが当初有力とみられていた産業革新機構の支援策よりも、鴻海精密工業の支援策を選択することが有力になるなかで、東芝の白物家電事業再編案についても、再検討される可能性が高まっていることが見逃せない。

 というのも、産業革新機構では、シャープの家電事業を切り出し、東芝の白物家電事業と統合するという案を示していたとされるからだ。

 鴻海では、支援策において、白物家電事業とブランド、社員雇用を維持する姿勢を示しており、東芝との白物家電事業再編はほぼ白紙に戻ってといっていいだろう。

 室町社長は、「白物家電事業の売却先として、シャープは選択肢のひとつ」としながらも、「ディールが変われば、海外企業への売却も選択肢のひとつに入る」とも語る。

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