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日本企業のデジタル変革支援に向け、S/4HANAやHANA PaaS、業種別ビジネスフレームワークを展開

「顧客の半歩先を歩む」SAPの2016年戦略を福田社長が語る

2016年02月04日 10時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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“デジタル元年”2016年は「顧客のビジネスを変えるIT」に注力

 多くの企業がビジネスの「デジタル変革」に乗り出す中で、2016年のSAPは、顧客のビジネスを支えるだけでなく「変える」ITにも注力していくという。そのベースとなるのは、これまでパッケージビジネスで培ってきた事業別のノウハウやベストプラクティスだ。

 「SAPは長年のパッケージソフト事業を通じて、25の業種別に、実際に駆動するサービス、アプリケーションを持っている。これをどのように『デジタル化』の流れに合わせてリニューアルし、提供するかを主眼に置きたい」(福田氏)

 こうした業種別のプロセスやサービスを、クラウドで迅速かつ柔軟に実装、連携させて、それらをいかにデータドリブンなビジネスプロセスやビジネスモデルへと進化させられるか。「それが、SAPが貢献できるところではないか」と福田氏は語った。本稿冒頭に挙げた「今が最も顧客に貢献できる、時代の要請に応えられる楽しい時期」だとする発言はこうした意味合いのもの、つまり顧客と一緒になって“デジタル時代”のビジネスモデル変革を推進できるという自負に基づくものだ。

 そして、企業のデジタル変革を実現していくITの「基礎」としてS4/HANAがあるという。福田氏は、企業ITのデジタル化は顧客/サプライヤー/ワークフォース/モノとコトという4つの要素との接点で起こり、“デジタルコア”であるS/4HANAがそれらの中心で大量のデータを処理、分析、可視化していくという図を示した。

SAPの考える「デジタルフレームワーク」。その中心=デジタルコアにはS/4HANAがある

 「このデジタルフレームワークは業種別に展開していく。それぞれの業種で何がスタンダードなのか、どんなサービスが世界のスタンダードなのか。それをフレームワークとして目に見える形で集約化し、実際のアプリケーションやクラウドサービスという形で提供する。グローバルでは、すでに10弱のインダストリービジネスフレームワークを提供している」(福田氏)

「現在のSAPは、未だかつてないほどクリアに方向を指し示している」

 HANAベースのPaaSであるHANA Cloud Platformについては、日本でも「S/4HANAに加えて本格展開を始める」と述べ、今年中に国内提供を開始する計画を明らかにした。国内データセンターも開設予定だという。

 「大企業からスタートアップまで、HANAを低コストで使っていただける。SAPのSaaSやアプリケーションとは標準インタフェースを持っているので、自社流のオリジナリティを付け加えることも可能。国内の顧客からも早く展開してほしいという要望をいただいていた」

HANA Cloud Platform(HCP)。SAP ERPやSAP SaaSの独自機能拡張やIoTサービスなど、新たなアプリケーションの開発プラットフォームとなる

 「現在のSAPは、未だかつてないほどクリアに方向を指し示している」と福田氏。日本法人においては、就任時にも挙げた「Glocalization」が変わらず課題であると語り、特にグローバルな考え方とふるまいのできる人材をさらに増やしたいと語った。

 「日本の顧客のグローバル化や世界規模での競争力強化を支援するため、半歩先――2歩先、3歩先だと離れすぎてしまう――で道筋を示していけるような人材だらけの会社にしたい。そのためには、まだまだできることはあると考えている」(福田氏)

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