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銀行API公開の「風情」がある

 まず、銀行のAPIは公開されるのか。銀行側である三菱UFJ藤井氏は「APIはやる(公開する)ことを目指して活動している」ときっぱり。

 「Citiやマスターカードなどは非常にたくさんのAPIを持っている。金融トランザクションを持っていくためにはどうするか。そういう世界の戦いになりつつあるので、やっていかないといけない」と、危機感をあらわにした。

 ただしレギュレーションの整理は必要という考えだ。

 「どこまで許諾をもらえればサードパーティで使ってもらえるか。そこが決まらないと出せない。一行だけが始めてもどうかというところもある。いろんな銀行が使い勝手をそろえて使える世界観のほうがあるべき姿かもしれない」(藤井氏)

 もしAPIが公開されたら「楽しみすぎる世界観になる」(瀧取締役)。

 送金の自由度が高まることで「たとえばAmazonでデビッドカードが使えるようになれば、クレジットカードの手数料がなくなる。小額決済で銀行のシェアが高まるよねという話になる」(瀧取締役)。

 しかし一方で「汎用的な仕様を導いたり、またそれを実装したりするのは大変」(飯田氏)だ。たとえば、証券システムの発注機能をAPIで提供したとしても、クライアント側で無限ループが発生してしまうようなバグがあると、余力いっぱいまで発注を出す事象が起きてしまうことになる可能性がある。

 セキュリティも問題だ。FISC安全対策基準のようなルールを設ける必要がある。法的な課題もある。出金ができるなら、それは銀行業にあたる。銀行代理店免許をとる必要も出てくるが、そこをどう解釈すればいいのか──

 とはいえ、「住信SBIネット銀行やNTTデータが地銀向けに参照用APIを出す傾向が生まれ始めている」(瀧取締役)。メガバンクからのAPI公開はまだ未来の話としても、注目分野であるといえそうだ。

 気にかかるのは、Fintechの発展により「金融版のGoogle」にあたる巨大IT企業は出てくるのか。これには三者それぞれに意見がわかれていた。

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