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短時間聴いて、音にも納得

密閉型の人気機種、再生産が決定「AKG K550 MK2」

2015年12月03日 13時00分更新

文● 小林 久/ASCII.jp

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このクラスで唯一の存在、女性ボーカスや生楽器と相性抜群

 短時間ではあるが、製品版の音質をいち早く体験することができた。

 音質に関しては、このクラスではオンリーワンと感じられる傾向。円形の大型ハウジングに分厚いイヤーパッド、そしてブラックという色彩。この見た目から分厚い低音を鳴らす機種に感じる読者もいるだろうが、実際の音はその見た目に反して、極めて繊細かつ緻密な印象だ。特に、音の粒度が細かく、ソースのディティールを的確に再現する力がある点が特徴的。高域の伸びや、豊かな倍音の表現を重視したい、バイオリン、あるいは立ち上がりの速さが求められるアコースティックギターなどの表現には特にマッチするように感じる。

Reference Headphoneのシリーズで、密閉型としては最上位。

左右が非常にわかりやすい

 周波数特性の数値だけ見ると、いわゆる“ハイレゾスペック”ではないが、高域は可聴域を大きく超える領域までカバーしており、爽快に抜ける。密閉型でありながら、セミオープン型ヘッドフォンのような開放感もある。

 逆に低域の量感は強調せず控えめであるため、中低域の厚みやリズム帯のパンチ感を重視する人からすると「おやっ」と思える部分もあるかもしれない。しかしじっくりと聴くと情報はきちんとトレースできていることがわかる。

ピントがぼけているが、K550の入り方などもおしゃれに。

大型の製品だが、平らになるのでスーツケースなどには入れやすそう。

 傾向から考えると、クラシック曲やアコースティックス楽器全般。そして女性ボーカルなどに適しているように思う。例えば、iTunesで配信されている、菅野よう子『CMようこ2』から、29曲目『お弁当を食べながら』。ボーカルの清浦夏実が歌い始め、すっと息を吸うブレス音などが非常に生々しく印象的。楽器の数も最小限に抑えられているが、細かな残響も拾うので、空間の広さも十分に感じられる。この自然さは密閉型というよりもセミオープンに通じる開放感だが、逆に密閉型らしい緻密さもあってバランスがいい。中高域の情報量に関しては上位のセミオープン型をしのぐのではないかと思えるほど。

プラグ部分。6.3㎜プラグをネジでつけた際の合わせがぴっちりと決まっていてこの辺りも上質。

 ベンチレーションの関係で、音漏れが多少あるので、本当に静かな公共の場所でのリスニングでは気を遣う面があるが、分厚いイヤーパッドは、装着感がソフトで疲れにくい。自宅など屋内でのリスニングを中心に、長時間の使用にも適した製品と言えそうだ。

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