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デジタル時代を乗り切る企業の条件とは?BoxWorks 2015レポート

変化を恐れるな!チェンバーズ氏の声に耳を傾けるBoxレビィCEO

2015年10月20日 07時00分更新

文● 谷崎朋子

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デジタル化に失敗すると10年後には消えている

 とは言うものの、デジタル化には相当な見直しと改革が必要だ。容易ではないため、先送りする企業もいるだろう。

 だが、BoxWorksでレヴィ氏と対談したITベンダーの巨人シスコシステムズの会長、ジョン・チェンバース氏は「フォーチュン500(全米上位500社)の企業の4割はデジタル時代に適応しきれず、10年後には消えるだろう」と、デジタル化しなかった企業の末路を憂えた。

1995年から務めたCEOを今年7月に退任、会長職に就いたシスコシステムズのジョン・チェンバース氏

 消えゆく企業の仲間入りをしないためには、どうすればよいのか。チェンバース氏は、まずはCEO自身が自己改革に取り組み、そして市場の変化を迅速に見極め、組織の構造やビジネスプロセス含めて適応・変革することだと提言する。

 チェンバース自身もCEO時代、ルーターからスイッチ、テレフォニー、ビデオ、コラボレーション、クラウド、データセンター、セキュリティへと、市場の変化を敏感にかぎ分けながら変革を断行した経験を持つ。

 もう1つ、企業規模を問わず取り組むべきことの1つとして、チェンバース氏は他社との提携を挙げた。

 「変革はスピードが重要だ。企業の戦略的提携があちらこちらで進んでいるのも、そうした迅速な転換を意識してのことだ」。提携で互いを補うことにより、新たなソリューションの開発と顧客の開拓がよりスムーズに、よりスピーディーに実現する。

昔は寝室に目標とする企業のポスターを貼っていたというレヴィ氏。そのポスターの1つにシスコシステムズもあったという

IBMと戦略的提携を発表、API連携で巨大コミュニティを形成

 急成長するBoxも、多分にもれず積極的な提携・連携を進めている。同カンファレンスでBoxはIBMのコンテンツ共有向けWebクライアント「IBM Content Navigator」、e-ディスカバリ―などを提供する「StoredIQ」、情報や人、プロセスを統合してプロジェクトや人事を管理するためのソリューション「IBM Case Manager」、文書管理ソリューション「IBM Datacap」など次世代コンテンツ管理ソリューションで戦略的提携することを発表した(IBM Case ManagerとIBM Data Capは2015年末に提供開始予定)。

 他社アプリケーションとのネイティブ連携も、順次展開している。今回のカンファレンスでは、マイクロソフト「Office 365」、AutoDesk「A360」、Adobe「Creative」、Autodesk、DocuSignなどコンテンツアプリとの連携が発表された。Office 365では、Box内で開いたファイルをダウンロードすることなくWord Onlineエディタで編集できる。

 なお、BoxではAPIを2006年より公開しており、Boxが裏で動いていることを感じさせることなく、自社のブランド、サービス/アプリケーションのエクスペリエンス、エコシステムを変えずにBoxと統合することができる。

 実際、資産管理や個人金融資産の運用のコンサルティングを提供する金融サービス会社Raymond Jamesは、顧客向けポータル「Investor Access」の中の「Vault」機能でBoxとAPI連携している。ユーザーはBoxアカウントを新たに作成する必要はないという。

Raymond Jamesの顧客向けポータルサイトで、データの保存先としてBoxとシームレスに連携

 Box Platformと呼ばれるこのエンタープライズアプリ開発プラットフォームは昨年より提供されており、今では5万人規模の開発者コミュニティが構築され、サードパーティからのAPIコールは毎月50億に達しているという。

 「CEOこそ変化を恐れてはならない。自らを変えることが義務だ」。チェンバース氏の言葉に真剣なまなざしで耳を傾けていたレヴィ氏。次回のBoxWorksは、2016年9月6~8日に開催される。創業10周年を迎える来年、Boxがどのような変化を実現し、どのような「デジタル化の解」を用意してくるのか、期待が高まる。

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