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『Monet 17』FitEar須山慶太代表に聞く

「アニソンとは?」本気で考えた高級イヤホン職人

2015年09月30日 09時49分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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アニソンは世界につながる日本文化である

──その点、須山さんの場合は「日本人にとってのアニソン」に端を発している。音というより、人にあわせて製品をつくっているんですかね。

うちの場合、さっきお話した「アニソンは日本人が共有する音楽の原風景」というところから始まってますからね。時代はちがうとはいえ、それを許容する素養をすでに持っているだろうと。音楽の自由さだったり、メロディーや作詞のテーマの自由さを成長する間に習得している。

──習得ですか。

言葉を学ぶようなものだと思うんです。演歌でも民謡でも、ジャズでもクラシックでもJ-POPでもなく『アニソン』。それを下地にしているんで、いまの60歳もアニソン世代です。うちにも68歳くらいのスタッフがいて、いちばん最初に聞いたアニソンは『鉄腕アトム』とか『鉄人28号』。彼に「主題歌を歌えるか」と聞くと、みんなすらすら歌えます。それに、クラッシックと同じように、主題があってアレンジがある。それがある意味、音楽性として教育されている。だからこそ、私みたいないいおっさんが『ラブライブ!』や『アイマス』でキンブレ振って盛り上がれるわけです。「あ、この感じ知ってる。これすごく楽しい!」と。

※キンブレ:ルイファン・ジャパンのペンライト『KING BLADE』。ラブライブ!登場キャラクターに合うカラーがあり、比較的安価なことで知られる。

──アニソンは日本という土地に根差した民族文化であると。

それがあったので初代『Monet』は日本だけで出したんです。海外からも引き合いはあったんですが「これは生得的な感覚を持っていないとわからない」と。

──もはや医療機器のようなスタンスですね……。

ただ、初代でのわかりづらさへの反省もあり、Monet17では香港で製品の説明会もやってます。それに、70~80年代から日本のアニメはヨーロッパに輸出されてますしね。バカンスとかで番組の製作が止まるので、そのあいだにアニメを流していた。なので、いまの30台にとって日本のアニメは親しみがあるわけです。

──そうして世界に羽ばたくアニソン文化に、イヤホンを通じて貢献する。

アニメファンとポータブルオーディオファンにはクロスする面もあると思うんですよね。まわりに音が漏れないから。本当に自分が好きなものを他人を気にせずにいつでも聴ける。せっかくそんな環境があったら何を聴くか。ジャズですか。クラシックですか。いや、やっぱりアニソンでしょう、と。


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