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MADOSMA開発者インタビュー

マウスコンピューター平井部長に聞く、開発の深い話

国内唯一のWindows Phone「MADOSMA」はこうして生まれた

文●ASCII.jp編集部

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Windows 10 Mobileを待たずになぜいまMADOSMAを発売したのか

 7月末にはWindows 10の出荷が始まる。その後には現行のWindows Phone 8.1 Updateの後継となる、Windows 10 Mobileも登場する見込みだ(関連記事)。5月に開催された“de:code”ではWindows 10 Mobileを搭載したMADOSMAの試作機が展示され、話題を集めた(関連記事)。

de:codeの会場で展示されたMADOSMAの試作機。Windows 10 Mobileを搭載している。

 それではなぜMADOSMAは、Windows 10 MobileではなくWindows 8.1 Updateを選択し、このタイミングで市場投入されることになったのだろうか?

平井 「まず、Windows 10 Mobileを使った検証はもちろん実施しています。Windows Phone 8.1から緩和されたライセンスアップグレードの基準は当然満たしているほか、これならばある程度Windows 10 Mobileを動かせるという確証を得たところで出荷したいと考えています。

 ただし、パソコン用のWindows 10とは異なり、Windows 10 Mobileはまだまだ不確定な要素も多く、何を持って要求するスペックを満たしているのか、アウト・オブ・スペックなのかが見えにくい面もあります。これには“Windows as Service”という新しい考え方でOSが開発されていることも関係しています。

 これは従来のβ、RC、RTM……ではなく、インターネットサービスのように、必要に応じてアップデートをかけていくというもので、方向性としては正しいと思います。しかしながら追加機能が、最終的なリリースでどこまで入るのか、Continuum(関連記事)やCortana(関連記事)はどう実装されるのかなど、ボトムラインがどうなるかの判断が難しい面もありますね」

CPUのロードマップも投入時期に関係していた

 この時期の投入を決める上で、どのCPUを選択するかという課題もあった。結果的にMADOSMAは、ミドルレンジ向けのCPU「Snapdragon 410」シリーズを搭載することになったが、悩みどころでもあったようだ。現行ではミドルレンジのSnapdragon 410が最新だが、Windows 10 Mobile世代では、まず最初にローエンドのSnapdragon 210が登場。次にハイエンドの810が登場し、かなりあとになってミドルレンジの425が投入されるスケジュールとなっている。

Channel 9で公開されたSnapdragonのロードマップ。ミドルレンジの時期CPU、425シリーズの投入はかなり先だ。

平井 「中国でChannel 9が開催された3月の時点で、クアルコムはWindows 10 Mobileを視野に入れた新しいチップのロードマップを示しました。型番でいうとSnapdragon 210/425/810の各シリーズが投入されます。われわれとしては現在国内向けのWindows Phoneが存在しないこともありますし、やるならまずはミドルレンジからだと考えていました。

 しかし、順序としてはローエンド、ハイエンド、ミドルレンジとなり、Windows 10 MobileをターゲットにしたSnapdragon 425の投入スケジュールは相当先になってしまいます。仮に最新CPUを待つなら、ローエンドスタートにせざるを得ない状況もありました。であればWindows 10 Mobileを待たずに、現行のSnapdragon 410とWindows Phone 8.1 Updateの組み合わせでやるほうがいいだろうと判断しました。

MADOSMAが出荷時に搭載するOSはWindows 8.1 Updateだが、開発の過程で文字化けなど日本語対応の問題点を発見し、その内容を反映したUpdate 2をマイクロソフトがリリースしている。検証はされており、購入後アップデートすることが可能だ。

 そしてWindows 8.1 Updateはそんなに悪くない(笑)。仕事に本当に必要な機能が使いやすくまとまっています。MADOSMAは現状のWindows 8.1 Updateの魅力を存分に発揮できるパフォーマンスを持つことに加え、今後登場するWindows 10 Mobileへのアップグレードも予定しています。プレインストールではありませんが、このアップデートを通じて、世界最速で手に入るWindows 10 Mobile対応機種になれるかもしれないと考えています」

(続く)

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