Lyncの全機能にSkypeのUIを融合、数千人規模のオンライン会議対応なども予定
日本MS「Skype for Businessはワークスタイル変革の中核製品」
2015年04月22日 09時00分更新
日本マイクロソフト(日本MS)は4月21日、今月中旬より提供を開始した「Skype for Business」(関連記事)についての説明会を開催した。これまで企業向けに提供してきた「Microsoft Lync」を“Skypeブランド”に統合し、Lyncのビジネス向け機能やセキュリティを全面的に引き継ぎながら、Skypeの使いやすさをもたらすと説明している。

日本MSで「テレワーク推進 担当役員」も務める、同社 執行役 常務 パブリックセクター担当の織田浩義氏

日本マイクロソフト Officeビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの小国幸司氏
Lyncのビジネス機能とSkypeの使い勝手を“いいとこ取り”
Skype for Businessは、旧Lyncをリブランディングしたユニファイドコミュニケーションツール。Lyncで提供してきたすべての機能を引き継ぎながら、コンシューマー向けのSkypeとインタフェースデザインを統一することで、エンタープライズ市場で求められるセキュリティやコンプライアンスと、直感的に使えるコンシューマー製品の使い勝手の良さとを両立させることを狙っている。
日本マイクロソフト Officeビジネス本部の小国幸司氏は、Skype for Businessはまったく新たに開発されたものではなく、「これまでに実績のあるSkype、Lyncのエンジンをそのまま融合したもの」と説明する。
たとえば、各ユーザーのプレゼンス機能はLyncから引き継がれており、Skypeよりも豊富な機能を備える。ライブプレゼンス機能(PCの画面がロックされれば自動的に「離席中」表示をするなど)、OutlookやOffice製品へのプレゼンス表示機能などは、Lyncからそのまま引き継がれたものだ。
また、パートナー企業間など組織を超えたプレゼンス確認やコミュニケーションも可能である。
小国氏によると、管理機能についてもLyncのものを踏襲しており、LyncからSkype for Businessへはスムーズな移行が可能。導入形態もLyncと同様で、オンプレミス/クラウド(Office 365)/ハイブリッドの3種類から選ぶことができる。
オンプレミス導入、クラウド使用のいずれも、従来のLyncと同じライセンス体系になっており、これまでLyncが含まれていたOffice 365のプランでもSkype for Businessが利用できるようになっている。
現在、Skype for BusinessはWindows、Mac対応クライアントのみがリリースされているが、今後iOS、Android版もリリースされる予定。それまでiOS/Androidデバイスからは、旧来のLyncアプリを使ってSkype for Businessを利用できる。
「テレワーク」「ワークスタイル変革」の中核を担う製品
Skype for Businessの販売目標について、日本MSでは、2016年度(2015年7月~2016年6月期)の売上を「前年度比で2倍以上に持っていきたい」(小国氏)としている。
今後のSkype for Businessプラットフォームのロードマップとして、小国氏は、数千人規模のオンライン会議への対応、開発者向けAPIの拡張、公衆電話回線(PSTN)との接続(日本は未定)を紹介した。
今回のリブランディングについて小国氏は、「マイクロソフトが提供するコミュニケーション製品のブランド」として“Skypeブランド”を前面に打ち出し、マイクロソフトが「コミュニケーションというものにきちんと投資していく」姿勢を示すものだと語った。
また、日本MSで「テレワーク推進担当役員」を務める織田浩義氏(執行役 常務 パブリックセクター担当)は、Skype for Businessは「テレワーク」や「ワークスタイル変革」といったマイクロソフトの戦略の中核を担う、非常に重要な製品であると述べた。
「Skype for Businessは、単にテレワークや在宅勤務をサポートするだけのためのものではないと考えている。うまく利活用を進めることで、さまざまな業務改革を推進できるはずだ」(織田氏)
なお日本MSでは4月20日、全国の高校において遠隔授業が解禁されたことを受け、Skype for Businessを利用した「高校遠隔授業汎用モデル」を慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザインラボと共同研究していくことを発表している。
