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ASCII.jp働き方研究所 第3回

クラウドワークスのプロフェッショナルが語る新しい働き方

人はクラウドソーシングで食べていけるのか?4人の先人に聞く

2015年05月11日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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クラウドソーシングの単価は果たして安いのか?

御手洗:みなさんクラウドワークス経由とそれ以外の比率はどうなっていますか?

tenamonya:半々くらい。月によっては、クラウドワークスさんの方が多くなってますね。ただ、1ヶ月で3~4件受注できる時もあれば、ゼロというときもあります。スタートしてこの2年で年間で65件くらいで、プロジェクト方式で指名頂いて受注するのはこのうち5%くらい。そもそも今までのクライアントからの依頼だと、一人でやっているためボリューム・納期・業種等で受けられる仕事がどうしても限られてしまいます。その点、クラウドワークスさんの仕事は自分で受けられる仕事がコントロールできるので、おのずと割合は増してきますね。

美羽:私はほとんどがクラウドワークス経由ですね。仕事を1回受けた方からリピートオーダーや他のクライアントさんをご紹介いただく場合もありますが、7~8割は自分でとってくる応募案件です。

良:私は約6割がクラウドワークス経由です。(以前やっていた)インテリアデザインの仕事が年に2~3件で、あとはパース描く仕事。ただ、仕事の割合としてはクラウドワークスが約8割かな。

御手洗:つまり、クラウドワークス経由の単価が安いということですね。

良:そうですね。

御手洗:ほかの方にも単価の話を聞きたいのですが。

tenamonya:うーん。5000円のロゴも、10万円のロゴもあるので、一概に言えないですね。特にDTPの単価としてはクラウドソーシングのほうが全般的に安い。こちらから打ち合わせに出向かなくても原稿を用意してもらっているので、その手間のことを割り引いてもです。A4のカタログ制作で、ページ単価5万円いく案件は正直クラウドソーシングで見たことないですね。ページ単価5000円以下という案件すらあります。ただ、低予算でもそれに見合った内容であれば応募しますし、プロジェクト方式で確実に受注できる場合は、また金額は変わってきます。そこらへん選択の自由はありますが、一方で金額の大きいコンペは応募数が多いので大変です。

「ページ単価5万円行く案件はクラウドソーシングでは見たことはない」(tenamonyaさん)

美羽:確かに、通常のデザインに比べて(クラウドソーシングは)安いという話はあるのですが、直接打ち合わせする手間がないので、私はスピードでなんとかしています。

御手洗:単価が安いというのは悪い面でもあるのですが、逆に発注側の企業からすると、今までデザインにコストかけられなかったのに、払えるようになるという事情もあります。みんな5000円でロゴ作れると思ってない。発注側がきちんとノウハウを持てば、デザインの仕事ってもっと拡がると思います。

クラウドソーシングを続けるモチベーションとは?

大谷:クラウドソーシングの魅力については、どうお考えですか?

美羽:クラウドソーシングのメリットは「いろんな業種の仕事を知ることができる」という点だと思います。病院・教育団体からネイル・エステサロンまで幅広く作ってきたので、とにかくいろんな知識を習得できるし、習得した知識を横展開できます。自分にあっていますし、楽しみながら仕事できてます。

良:僕も楽しいですねー。もともとモノを発想するというのが好きで、これまで人生を送ってきたので、いつもなにかのヒーローになってますね。ロゴって、形がありそうでないもの。作れと言われても、意外と作れない。架空のものを現実的に見せるというのが、すごく面白いですね。正直、お金の問題じゃないというところはある。

大谷:お金以外のモチベーションがあると。

良:はい。どんな案件が待っているのか、パソコン開けるのが、楽しみです。あと、クラウドワークスでは評価の欄があるのですが、びっくりするくらいべた褒めされたことがあります。うれしいんですけど、こちらが恐縮します。

「どんな案件が待っているのか、パソコン開けるのが楽しみです」(良さん)

大谷:なるほどね。みなさんのモチベーションとか、達成感はなんですか?

美羽:もともとデザインが趣味なので、新しい技術を習得できるのがすごく楽しい。悩んで、調べて、できたときの達成感や新しいスキルが身についたときの充実感は大きい。私にとっては「仕事=趣味」ですね。

ねことろ:私もデザインが好き。クライアントさんに喜んでもらうとうれしいし、チラシでも、ロゴでも、パッケージでも、自分の作ったモノが世に出るのは誇りに思えます。

tenamonya:私はずーっとデザイン一本で、ほかのことやってないのでねえ。でも、お客さんができないもどかしさを形にしてあげて、納得してもらえるのが一番うれしいですね。

大谷:クラウドワークス経由で来た仕事で印象深いものはありますか?

美羽:高校時代に帰りによく寄っていた近所の薬局から仕事が来ました(笑)。久しぶりに地元に戻って打ち合わせして、なんだか懐かしい気分になりました。

大谷:すごい偶然ですね。

美羽:あと、温泉とか、旅行が好きなんですけど、観光地からの依頼もけっこう多いです。行ったことがない場所を知る機会にもなって、とにかく楽しいです。趣味に通じた仕事が来るとやっぱりテンション上がりますね。

ねことろ:私はゲーム・アニメが好きなんで、もともと二次創作やコミケに出たりしてたんですが、最近版権系のグッズ制作の仕事が来ました! 1年前までコミケ出て、自分で買っていた物を、自分で作っているなんて、信じられないです。

tenamonya:私はほとんどコンペで、内容と金額で応募しているので、いろいろな場所からお仕事いただけます。仙台市の起業家を盛り上げるイベントの告知ポスター・チラシを作ったり、沖縄のニュースサイトのロゴを作ったり。いろんな土地に思いを馳せつつ、デザインするのが面白いですね。

(次ページ、クラウドソーシングをブレイクさせるために必要なこと)


 

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