発注側も発注のやり方がわからない?
tenamonya:詳細がないのが、やっぱり一番困りますね。従来はクライアントに出向いて、打ち合わせして、探ってくればいいんですが、クラウドソーシングの場合、そういったプロセスがない。要望がないということは、方向性がつかめないため、裏を返せばなにやってもダメになる可能性が高いわけで、そうなると、その仕事はパスしようと思いますね。逆にコンペの案件の詳細を見ているうちにイメージが湧いてきて、チェックだけのつもりがそのまま作業に入っちゃうこともあります。発注内容がきちんと書かれていたら、すぐに仕事にかかれるので、基本の部分はおさえてほしいですね。

「詳細がないのが、やっぱり一番困りますね」(tenamonyaさん)
ねことろ:発注側がなにも知らない方だと、別のクライアントのサンプルをそのまま使ってくださいとい言われたり、ピクセルの小さい画像を大きく配置してくださいとか(笑)。あと、契約を終了したのに、追加でこれもおねがいしますとかはつらいですねえ。
美羽:私もWebデザイン全部JPEGで送ってくださいと言われたことあります。ボタンとか、押せないですけどいいんですかねえと(笑)。
tenamonya:解像度とか、RGBとCMYKの違い知らない人とかいますから。
美羽:ただ、以前セミナーで登壇した際に、発注者の声も聞いたんですけど、発注の仕方もわからないという声がほとんどだったんですよ。最近、クラウドワークスではすごく細かく仕事の内容を書けるようになっていますから、発注者側がうまく発注できるマニュアルが充実するといいなと思います。
大谷:クラウドソーシングを使っているユーザーが増えているので、発注者を教育する必要があるかもしれませんね。
美羽:クライアントの連絡が遅すぎると、ブッキングしてしまうという悩みがありますね。私はプロジェクト方式の案件のみを請けるので、資料や発注内容をテンプレート化して、全部ヒアリングします。なので、発注内容の詳細という問題はクリアしているのですが、複数のタスクを管理しているので、担当者のレスポンスが遅すぎると、別の仕事にかかってしまう場合があります。そこで無理をしないよう、どうすればいいかは考えています。
大谷:ほかに苦労した点はありますか?
良:デザイン真似されるとつらいですね。なかなかなくならないとは思うのですが、90%くらい真似されちゃうと、これは許せないなと。「作品がいいから真似したんだ」という声もあるのですが、そこまでいくと人間の良心の問題ですね。
クラウドソーシングでどれくらい稼げるのか?
大谷:では、取材の趣旨であるクラウドソーシングで食べていけるのか?というテーマに移ります。今回、期せずしてフリーランスの方、ダブルワークの方、地方の方、首都圏の方という感じで、立場が異なっています。それぞれの立場でお話しをいただければと思います。tenamonyaさんはクラウドソーシングでどれくらい稼いでいる感じですか?
tenamonya:僕はコンペ中心ですので月によってバラバラで、受注できなければ月にゼロの場合もありますし、受注が集中すれば半月で30万円になることもあります。コンペは気軽に応募できるのでいいのですが、時間効率から考えれば良くはないと思います。とはいえ、プロジェクトは受注してみたら、全然イメージ違ったというリスクがありますからね。難しいです。
大谷:ねことろさんは?
ねことろ:すごく調子の良い時は、事務の仕事よりも高くなります。

「すごく調子の良い時は、事務の仕事よりも高くなります」(ねことろ:写真右から2人目)
御手洗:ダブルワークで本職の収入を超えるというのはすごいですね。
ねことろ:でも、なんだかいけないことのような気がして、バランスをとってます(笑)。あと、初めて1年経ってないので、パソコン買ったり、フォント買ったりという投資に回ってますね。
大谷:そこまで来たら、独立できるのでは?
ねことろ:うーん。その人の考え方だとは思いますが、やはりモチベーションがないと続かない。実力も、コミュニケーションも、つながりも、運も必要なので、食べていけるかは、その人次第だと思います。ただ、結婚しても、子供ができても続けられる仕事なので、クラウドソーシングでの仕事は今後もやっていきたいです。
大谷:で、実際にクラウドソーシングだけで食べていけてる美羽さんですが(笑)。
美羽:はい(笑)。クラウドソーシング1本で食べて行けるかは、最初ドキドキだったんですが、もう会社員には戻れないですね。確かに、自分の限界にチャレンジすることになるし、仕事量の調整も自分でやらなければならないのですが、実際食べていけてます。

「仕事量の調整も自分でやらなければならないのですが、実際食べていけてます」(美羽さん)
(次ページ、クラウドソーシングの単価は果たして安いのか?)

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