発売直前! 林信行氏による先行レビュー
まだまだ語り足りない! Apple Watchの細かな工夫を一挙公開
2015年04月23日 21時30分更新
多岐にわたる工夫がなされた「アクセシビリティー」
「アクセシビリティー」には、障がいを持つ人のための機能がまとめられており、この小さなApple Watchでも非常に多岐にわたる工夫がされているのがわかる。
例えば、視覚障がいで画面を見るのが大変な人のために、画面に表示されている内容を読み上げる「Voice Over」機能がある。画面を一切みなくても、画面の左右スワイプで項目を選んで、ダブルタップで決定することでほとんどの操作が行なえてしまう。
視力が低く小さな文字が読めない場合には、「より大きな文字」を表示する機能もあれば、特大の文字盤も用意し、画面を最大15倍まで拡大表示する「ズーム」機能もある。
色付きの画面だとうまく認識できない人には画面をグレイスケールで表示する機能が、複雑な図が認識しにくい人には画面の透明度を下げコントラストをあげる機能もある。オン・オフスイッチの色が見分けにくい人には、オン状態かオフ状態か分かる記号が表示されるモードも、視差効果(見えている場所とタッチする場所のズレ)がない方が操作しやすい人には視差効果をなくす設定もできる。
片耳だけが不自由な方にはモノラルオーディオの機能があるし、TAPTICエンジンによる細かな振動の違いが分かりづらい人には「わかりやすい振動」という振動をより簡略化する機能も用意されている。
とにかく、ひとりでも多くの人がApple Watchを使えるようにする工夫が随所にこらされている。
「一般」の「情報の表示」には、
「Wi-Fiアドレス」が表示される
ところで、Apple Watchの「設定」で一番驚かされるのは、「一般」にある「情報の表示」かもしれない。
表示させると、Apple Watchの名前や、曲数、写真数、アプリケーション数、総容量(6.2GB)、使用可能容量、Watch OS(Apple WatchのOS)のバージョン、モデル番号、シリアル番号、BluetoothのID、SEID(Apple Payなどに使うNFCのID)といった項目に紛れて、なんと「Wi-Fiアドレス」も表示される。
Apple Watchの公式ページには、搭載技術を一覧したスペック表ページがないために、どんな技術が採用されているかあまり知れ渡っておらず、iPhoneとの接続はBluetoothだけと思っている人も多いかもしれない。しかし実は、Wi-Fiも内蔵されているようだ。ということは、いずれはWatch OSのアップデートで、Wi-Fiがある場所ではApple Watch単体でもインターネットの情報がとってこれるようになるのかもしれず、興味深いところだ。
ちなみに上記した設定はすべて、ペアリングしたiPhoneの側からも行なえてしまう。
いや、それだけではない。iPhone側からはホーム画面にどのようにアプリをレイアウトするかという設定(場所は自由に動かせる)、通知に関する設定、どのアプリのグランスをどういう順番で表示するかの設定、ソフトウェアアップデートと(アップデートの)自動ダウンロード設定、言語と地域の設定、Apple IDの登録、iPhoneとの連動を実現する「Handsoff」機能のオン/オフ、手首検出、使用状況(アプリごとの占有メモリ容量)、ヘルスケア情報の登録(身長、体重、性別など)、モーションとフィットネス。
そしてその下にはズラっとインストール済みアプリが表示され、個別にApple Watch上でアプリのアイコンを表示するか、グランスがある場合はグランスを表示するかなどが設定できる。
手首の検出、モーションとフィットネス
これらの中で、特筆すべきはまず手首の検出だ。
Apple Watchでは、メッセージが届くと、まずは音と振動で受信したことがユーザーに伝わる。そこで、腕をあげてApple Watchの画面を顔に向けると、自動的に画面が点灯する。点灯するとすぐに、どのアプリにメッセージが届いたか、例えばFacebookならFacebook、SkypeならSKypeのアイコンが表示される。数秒後、何も操作しないでも、ふわっとその表示が消え、メッセージの内容が表示される。
ユーザーに必要な動作は腕をあげ、くいっと手首を顔の方にひねるだけ。両手にある程度重たい荷物を持っていても十分にできる操作だ。
もうひとつ特筆すべきは、モーションとフィットネスだろう。
アップルは、Apple Watchの開発にあたって秘密のフィットネスジムを作り、何人もの被験者データから、Apple Watchのセンサーが感じ取れる情報を元にかなり正確にカロリー消費量などを読み取れるアルゴリズムを導き出している。実はそれだけでなく、ユーザーの身長や体重を入れておくと、そこから歩幅などをさらにきめ細やかに算出して、より正確にユーザーの運動を理解できるように学習する機能が用意されている(アップルはプライバシー情報は集めない企業なので、こうした情報が外に漏れることはない)。
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