iOS 8.3が登場し、ドコモ/au/ソフトバンクのiPhone 6/iPhone 6 Plusで「VoLTE」が使えるようになった。しかし、VoLTEがどういうもので、どういうメリットがあるか、よくわからないという人も多いはず。本記事では使い方も含めて、Q&A形式で解説する。
Q1 そもそもVoLTEって何?
A1 LTEのデータ通信で音声通話を行なう技術
VoLTEは「Voice over LTE」の略(モバイル業界では「ボルテ」と読むのが一般的)。もともとデータ通信用に開発されたLTEネットワーク上で音声通話を実現する技術だ。
これまでのスマートフォンはLTE対応であっても、音声通話を利用する際はLTEから3Gに自動的に通信を切り替えていた。
Q2 つまりVoLTEはSkypeやLINEと同じようなもの?
A2 通話品質が保証されていないSkypeやLINEとは基本的に異なる
データ通信で音声通話を実現するという部分では、SkypeやLINEと同じだが、VoLTEでは通話用に帯域を確保し、遅延が小さく、かつ確実に通話ができるようにしている。また、留守番電話など従来の音声通話で提供していた機能も用意されている。その点でSkypeやLINEとはハッキリ異なるものだ。
逆にVoLTEで通話をしても、これまでのスマホで通話したときとの違いを感じる機会は(後述する音質以外は)あまり無い。
Q3 では、VoLTEのメリットって何?
A3 音質の改善、通話中にもLTEで高速通信が可能
LTEでは3Gと比べて周波数をより効率的に利用できるほか、音声圧縮の技術が新世代になることで音質が大きく改善された。3Gではどうしても篭もった感じの声になるのに対し、VoLTEでは自然な声で会話ができる。
また通話相手が騒がしい場所にいると、周囲の音まで歪んだ感じになってマイクで聞こえるため、話を聞き取るのに集中する必要が生じるが、VoLTEでは環境音もクリアになり、会話がずっと楽になる。
さらにVoLTEでは、通話中でもLTEでの高速通信が可能だ。ドコモとソフトバンクのiPhoneではこれまでも通話中のデータ通信自体は可能だったが(auはそもそも不可)、接続が3Gに切り替わるうえ、通信速度は最大384kbps。VoLTEなら、通話しながらマップを見るなどの操作もラクラクだ。
もう1点注目したいメリットがあり、それは呼出時間の短さ。特にVoLTE端末同士であれば、「プップッ」と2秒ほどで繋がるので、初めて使ったときには誰しも驚くはず。
Q4 どのiPhoneでVoLTEが利用できる?
A4 iPhone 6/iPhone 6 Plusが対応 現時点では同じキャリア同士のみ
VoLTEを利用するには、端末自体がVoLTEに対応している必要がある。iPhoneであれば、iPhone 6/iPhone 6 Plusとなる。Androidスマホでは、ドコモが昨夏モデル以降、auが昨冬モデル以降、ソフトバンクは「AQUOS CRYSTAL X」で対応している。
また、現時点では異なるキャリア間のVoLTEでの接続には対応していない(ドコモのVoLTE端末なら、相手がドコモのVoLTE端末の場合のみ)。世界的に見ても、異キャリア間のVoLTE接続はまだこれからという段階で、対応はすぐとはいかなさそうだ。片方がVoLTEで接続していても、もう一方がVoLTE非対応のスマホや他キャリアの場合は基本的に現状レベルの音質となる。
なお、同じキャリア間であれば、iPhoneとAndroidでのVoLTEは可能。ただし、VoLTE対応のAndroidスマホ向けに提供されている、ドコモ「ビデオコール」、au「シンクコール」「ボイスパーティー」など、iPhoneでは利用できないサービスもある。
Q5 VoLTEの料金はどうなっている?
A5 従来から変化無し
3キャリアとも通話料はこれまでと同じ。追加料金は必要ないが、逆にVoLTE専用の割引もない。国内通話定額なども同様だ。
Q6 LTEのエリアから外れた場合はどうなるの?
A6 3Gに切り替わって通話が続く auはLTE(4G)のみ
ドコモとソフトバンクでは、データ通信と同じく、ネットワークが自動的に3Gに切り替わる技術があるため、一瞬だけ途切れたとしても、基本的には通話は続けられるはず。
auはVoLTE機能をオンにすると、データ通信も含めて、基本的にLTE(4G)のみ利用する形になる。au「4G LTE」は人口カバー率99%超でほぼ全国をカバーしている。またビルの中など、従来は3Gに接続が切り替わる場所でも、実際にはLTEで繋がることが多い。3Gが使えないことについて、あまり心配する必要はないだろう。
(次ページでは、「iPhoneでVoLTEを使うにはどうすればいい?」)