ローカル、ネットワーク、USB経由と再生ソースを選ばない
Hi-Fi向けのネットワークプレーヤーでは、内部にCDドライブや音楽データを保存するストレージを持たず、音楽データはネットワークなどを経由して受け取る。
音楽データはネットワーク上のNASなどに保存するのが良いのか、それとも本機のように内部に持つのが良いのかは議論が分かれるところだろう。NASのメリットは、音楽データを多くの機器で共有できるということだ。ネットワークオーディオプレーヤーで再生するだけでなく、PCやDLNAに対応したAV機器でも再生できる。これをプレーヤー内部に内蔵してしまうと、こうした多くの機器での共有がやりにくくなる。
ところが、AK500Nは、NASに保存したファイルをDLNA経由で再生する機能に加えて、本体自体がDLNAサーバーにもなる機能を持っている。言わばAK500NをNASとしてPCなどからネットワーク経由でアクセスし、内部の音楽を再生することが可能なのだ。
これは、スマホやタブレット端末でも行える。この際、スマホやタブレット端末自体はコントロールするだけで、AK500Nのリモコンのように離れた場所から操作することも可能だ。
ちなみに、こうしたスマホなどによるAK500Nのネットワーク経由のリモコン操作(DLNAのDMC機能)は、DLNA ver.1.0に対応したアプリで使えるそうだが、Astell&Kernでも本体の操作と同じ感覚で操作できるリモコン操作用アプリを近日提供予定としている。
据え置きだがバッテリー駆動、ノイズを極限まで廃するための試み
AK500Nのオーディオ再生機能について、長々と説明してきたが、ここでまとめておこう。CDドライブはリッピング専用でCDの直接再生機能はない。リッピングしたデータや購入した楽曲などは内蔵のSSDに保存する(PCで入手したハイレゾ音源などはUSB接続でコピーするほか、USBメモリー経由でコピー/直接再生が可能)。ネットワーク接続は、CDのメタデータの取得やDLNAサーバーとして動作させるためのもの。
ここまでまとめてみると、面白いことに気付く。こうした特徴って、CDドライブこそ持たないけれども、ポータブルプレーヤーの特徴そのままなのだ(ぐるりと一周して戻ってきた感じなのだが)。
いやいや、電源が必要だからポータブルじゃないじゃん。という声が聞こえてきそうだが、AK500Nはバッテリーを内蔵している(一般的な使い方で約7時間使用可能)。目的は電源から混入するノイズを遮断するため、バッテリー駆動としている。AC電源は充電用というわけだ。ちなみに、バッテリーへの充電は音楽再生をしていない時やバッテリー残量が5%以下になると自動的に行われる。事実上、据え置き型モデルでありながらポータブル機でもある。というよりも、ポータブルプレーヤーで得た技術的ノウハウや音作りを、小さなサイズという制約をなくして徹底的に追求したのがAK500Nなのだ。