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徹底して音質にこだわった作りと、快適な操作性を実現

高価だが最先端、夢のネットワークプレーヤー「AK500N」を聴いてみた!

2015年04月11日 12時00分更新

文● 鳥居一豊、編集●ASCII.jp

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CDドライブがあるのに、CDの再生ができない!?

 では、まずはCD再生から試してみることにしよう。

──と、言いたいところだが、実は本機のCDドライブはリッピング専用で、ディスク再生機能は持っていない。ディスクを入れると自動的にリッピング画面に切り替わり、データの読み込みが始まる。インターネット上のデーターベース「Gracenote」にアクセスして曲名やジャケット写真などのメタデータを取得し、自動で関連づけする機能もある。取得したメタデータはタッチスクリーンを使って編集することも可能だ。

Gracenoteデータベースと連携して、リッピングしたCDの楽曲情報を自動的に取得できる。

 CDドライブを持っているのにCD再生ができないというのも変な感じがするが、これもAK500Nの音のこだわりのひとつだ。

データの正確さに加えて、振動対策の面でも有利

 一般的なCDプレーヤーは、データを絶えずディスクからキャッシュに読み出し、リアルタイムでアナログの信号に変換していく。ただしここには弱点もある。ディスクは使用していくうちに傷ついたり、ホコリが乗ったりするため、読み取り時にデータの欠落が生じる可能性があるのだ。

 そのために用いられるのがエラー訂正。CDプレーヤーには、仮にきちんとデータが読み取れなかった場合でも計算して正しい信号が補える仕組みが入っている。しかし、ディスクの状態やプレーヤー自身の読み取り精度の問題で、それでも訂正しきれない場合がある。その際は前後関係などから“たぶん正しいと思う”信号を、プレーヤーが類推して補完する。言ってしまえば、CDプレーヤーは割とアバウトな仕組みで動作しており、データの正確さよりも、音が途切れたり、再生が止まらないことを優先しているのだ。

特徴のひとつであるPerfect Extractor。リッピング品質に定評があるオープンソースのリッパー「cdparanoia」をカスタマイズして使用。読み込みエラーなども画面上で確認できる。回路面でもジッター低減用の対策を施して、正確な再生ができるよう配慮している。

 一方、リッピング再生では、あらかじめ正確に抽出しておいたCDのデータを使って再生をする。だから読み込み時には、音楽の途切れを考慮する必要がない。ディスクからデータを読み込む際にエラーが発生した場合には、そのトラックを再度読みなおせる(リトライ)。また高性能なリッピングソフトを使うと、そもそもディスクの情報を正確に読み取れていたのか、エラーが発生していないかといった情報の確認もできる。

内部構造。フローティング構造にして振動対策するなどオーディオ的な試みも盛り込んでいる。

 また、データが正確かどうかとは別に、CDを回転させるモーターなどが発する振動がオーディオ回路に悪影響を与えることもよく知られている。ディスクから直接再生するのは音質的なデメリットも抱えているのだ。AK500NのCDドライブはリッピング専用なので、音楽再生中にドライブメカが停止する。だから振動もないし電源供給もストップしている。そしてリッピングしたデータを保存するストレージも、駆動のためのメカを持つHDDでなく、SSDにするなど徹底している。

 SSDにもいくつかの種類があるが、AK500NではMLC(マルチレベルセル)タイプを採用している。ほかに耐久性に優れるが大容量化が難しいSLC(シングルレベルセル)、安価だが耐久性に不安があるTLC(トリプルレベルセル)などがあるが、中間的な存在であるMLCなら耐久性と大容量を両立できるという理由で採用したようだ。内部には最大4基のSSDを内蔵できるベイがあり、1TBモデル、2TBモデルともに購入後の容量の増設にも対応できるそうだ。

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