解像度の高さや快適な操作性が○
発表会でのデモ体験でまず最初に感じたのは、上部と左右のベルトで固定するので、かなり装着感がいいということ。きちんと締めれば、全方位にあるVRコンテンツを見るために頭を動かしたときでもずれにくそうだ。天部のダイヤルを回して、すぐにピントを調節できるのも利点になる。非常に近くにディスプレーががあるため、近視の方でも場合によってはメガネを外して体験が可能だ。
表示も非常にクリアで密度が高い。その理由は解像度で、Oculus Riftでユーザーが入手出来る第2世代開発キット(DK2)は両目で1920×1080ドットなのだが、Gear VRはGalaxy S6シリーズそのままの2560×1440ドットとより高い。注視したときに感じる網目がかなり軽減されており、特に実写の360度コンテンツなどでシャープ感が変わってきそうだ。
実在感(映像の中に入っている感覚)もスマホ向けVRHMDの中ではピカイチだ。単にスマホを挟み込んだだけのVRHMDは、特に頭を左右に振った際の表示ずれが目立ちがちだが、Gear VRでは、Galaxy S6シリーズの内蔵センサー、およびGear VRに内蔵した加速度/ジャイロのセンサーを連動させ、映像を先読みすることで(Asynchronous Timewarp)でずれを軽減している。
右サイドのタッチパネルだけで操作できるというのも快適だ。「Oculus Home」というVR専用のアプリを用意しており、例えばメニュー操作では、ボタンを見たりスワイプで選んでアクティブにさせて、タップで決定という感じで利用する。
ケーブルレスというのも大きなポイントだ。Oculus RiftはHDMIやUSBのケーブルでPCにつなぐが、このケーブルがからまったりして体験時に煩雑に感じることもある。Gear VRは単体で完結しているので非常にスマートだし、出先で誰かに見せる際にも気軽に持ち出せるのが便利だ。
一方、足りないと感じたのは、密着度があまりに高すぎるので、レンズがくもりやすい点だ。一応、左側のファンで排気しているのだが、時間が経つにつれて画面が見えにくくなってしまいがちだ。この点、鼻呼吸だとくもりやすくなるので、体験時は口呼吸にするといいだろう。
DK2との比較では、ポジショントラッキングができない点が不満だった。特にバーチャルキャラクターのライブである「ユニティちゃん Candy Rock Star VRライブ!」では、キャラになるべく近づいて見たいわけだが、それができないのがやや残念だ。そのほか視野角が96度とややせまいので、頭を振った際に左右の端がわずかに見えてしまう点も気になった。
とはいえ、開発者キットの段階でここまで完成度が高く、既存製品にくらべて非常に入手しやすいというのは大きなアドバンテージだ。
Gear VRが出荷される5月上旬頃には、コロプラの「白猫VRプロジェクト」、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの「ユニティちゃん Candy Rock Star VRライブ!」、カヤックの「Little Witch Pie Delivery」など国産のVRコンテンツを含む68タイトルが体験できる予定だ。北米などと比べてまだイマイチ盛り上がりきれていない日本のVR業界にどんな新風を吹き込んでくれるのか。今からぜひ注目しておきたい。
