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え~ぶい! 第5回

野村ケンジ・鳥居一豊の両氏に聴いた、“楽しめる”注目曲

ハイレゾでアニソン、オレたちならこれを聴く[2014年版] (4/6)

2015年01月08日 13時00分更新

文● 編集部

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CD音源をハイレゾ化するメリット・デメリットにも注目

野村 『アルジュナ into the another world』は、(44.1kHz/16bitの音源を96kHz/24bitにコンバートした)K2HDでのリリースです。K2HDについてはどこかで書かないといけないかと思っています。残念ながら、聴く曲の感動はSHM-CDやBlu-spec CDと大きくは変わらない。つまりメディアが変わったぐらいの発見しかないんです。それでも僕は菅野よう子さんの大ファンで、曲がいいんで買っちゃうんですがね(笑)。アルジュナは2種類のアルバムが出てますが、実はすでに7~8枚持っていて。(このアルバムではないが)同じ音源でもCDプレスによる音の違いはあると感じています。おそらくはプリントマスターのひずみが原因なんじゃないかなと想像しているのですが、デジタル配信になると、メディアの影響のない、CDマスターそのものが聞けるんじゃないかと期待した面もあります。

鳥居 確かに盤のコンディションに左右されないというのは配信の魅力かもしれないですね。24bi/48kHzでもスタジオマスターだったら、僕はそれでもいいと思っているんですよ。それがマスターなんですから。無理にハイサンプリングする必要はないと思います。

野村 本当にそうですよね。K2HDという技術に罪があるわけじゃないので、その利用の仕方を吟味してほしいなと思います。いま聴いているのは2曲目「覚醒」。頭の1分ぐらいを聴くだけで凄さが分かります。菅野さんの引き出しの豊富さには感嘆しますね。昔、菅野さんの曲を聴いたことがない人にその曲を説明するとき「アイルランド民謡を新曲で書ける人」なんて言ったりしたこともありましたが。

鳥居 民族楽器だったりとかを使いながら、しかも自分のメロディーとして曲にできる才能。その器用さというか上手さには驚きます。

野村 実はこの曲を僕は、昔カーオーディオのチェック用に使ってたんです。サブウーファーがビビってしまったりするので、メーカーさんに敬遠される面もあったんだけど(笑)。性能の差がよく分かります。そしてこの音源については、CDもいいと思ったていたけど、ハイレゾにリマスターされたことで、やはりきめが細かいし、解像感が出ているように感じます。当時はリミッターをあんまりかけられなかったらしく、CD盤ではフォルテの部分で微妙な音われを感じたりもするのですが。

鳥居 想像ですが、独特の臨場感を出すために、シンセのエフェクトや位相のズレ方まで含めた調整をやっているんじゃないかな。これがジャングルのような密林に包囲されている感じや、危ない薬をやってトリップしているような不安定な感じにつながるんじゃないかと。

野村 作品としても衝撃でした。あの内容を夕方5時にやっていたというのも含めて。カウボーイビバップで菅野さんを知って、次に聴いたのがこれだったから、何だこの人はって衝撃を受けました。ロック、プログレ、ジャズ、民族音楽……そういうアレンジが体で覚えているんでしょうね。というわけで、アルジェナは買っちゃいました!

鳥居 ジャズでコードを決めてあとは即興でアレンジする、そんな演奏を髣髴とさせるような手際のよさですよね。

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