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ワークステーション担当ジェネラルマネージャー アンディ・ローズ氏インタビュー

モバイルにシフトするワークステーション戦略をデルに聞く

2015年04月09日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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「ワークステーションであれば、デル」というお墨付き

――ワークステーションビジネスにおけるパートナー戦略ではどんな成果がでていますか。

ローズ それはさまざまな方面からメリットが出ています。たとえば、デルは、Teradiciと連携し、Teradici PCoIP Workstation Access Softwareを投入しました。これは、ハードウェアを必要とすることなく、ソフトウェアだけで、リモートアクセスが実現できるもので、コストを抑えるという点でもメリットがあります。こうしたパートナーと連携した提案も増加しています。

 また、ISVパートナーとの連携もますます緊密になってきました。仮想化分野でのアプリケーションを検証して、安定して稼働するような取り組みも行っていますし、モバイル製品のラインアップ強化によって、ISVとの関係も広がってきました。たとえば、M3800ではタッチ機能を搭載しており、アドビシステムズが提供しているタッチ対応のソリューションとの組み合わせ提案を開始しています。

 これは、タブレットでも同様で、アドビのアプリを操作しやすくしています。また、オートデスクでは、これまでAUTOCADをPCで動作させるというユーザーが多く、結果として、AUTODESKは、ソフトウェアの動きが遅い、もたつくという課題が指摘されていました。これは当然のことで、オートデスクとしても、きちんとした性能を持つワークステーションで動かしてほしいと考えていたわけです。

 そこに、デルが投入したM2800というエントリークラスのワークステーションが、ラップトップPCと固定型のワークステーションの中間ともいえる役割を果たすことになった。AUTOCADを利用する際に、これまでPCを活用していたユーザーに対して、プロ向けに作られたM2800というワークステーションを活用してほしいということが明確にいえるようになった。実際、AUTOCADをM2800で動作させた場合、ラップトップPCに比べて、アプリケーションの速度は35%速くなり、コストは10%~15%増で収まる。ドクターが、包丁を使って手術に臨むのではなく、最適なメスを持って手術に臨めるようになったというわけです。デルは、オートデスクにも、AUTOCADのユーザーに対しても、最適なものを提供することができたというわけです。

低価格な15型モバイルワークステーション「Precision M2800」

 このように、顧客に対して、影響力があるISVから、デルのハードウェアを推奨してもらうといったことも増えています。「ワークステーションであれば、デル」というお墨付きがつくようになったというわけです。

 そして、もうひとつのパートナーが、販売パートナーです。ここでも変化が起こっています。たとえば、北米や欧州では、従来はアップルしか扱っていなかったような、メディア系、あるいはエンターテイント系の領域に強い販売パートナーが、デルのワークステーションを扱ってくれるようになっています。ここでは、デルの4Kモニターおよび5Kモニターとの組み合わせによって、さらに提案しやすい環境が整った点も見逃せません。また、ワークステーションに対する専門性や、業種に特化した強みを発揮する販売パートナーも増えています。

 この1年で、デルを扱いたいという販売パートナーは確実に増加しています。M2800は、価格を抑えたことで、より多くの顧客に対しても販売できる仕組みが構築できる。これも販売パートナーにとっては、新たな市場を開拓できるというメリットがあります。さらに、HPは分社化する方針を打ち出していますが、そうなると2つの会社から製品を調達しなくてはならないといったことが起こります。

 しかし、販売パートナーからは、1つの会社から調達したいという声があがっています。デルは、モバイルから固定型までワンストップで提供できることに加えて、ワークステーションの仮想化でも優位性を発揮できる。また、ワークステーション導入に関して、コンサルテーションと絡めて提案するために、デルと協業したいという声も出ています。デル全体でチャネル販売拡大の方針を打ち出すなかで、ワークステーションもそれに貢献しているといえます。

日本でもWorkStation Virtual Center of Excellenceを展開したい

――今後、日本では、どんな点を強化していきますか?

ローズ まずは、ワークステーションの営業部門の陣容を拡張したいですね。ここに対する投資を行なっていく。そして、教育にも力を注ぎたいですね。また、ワークステーション専任部門だけでなく、各営業部門に対する教育、販売パートナーへの支援、そして、ISVへの投資も行っていきたいですね。日本市場における手応えも少しずつ感じています。製品の性能、仮想化への取り組み、ISVとの連携、システム管理やセキュリティなどでの優位性など、デルのワークステーションをトータルで評価してもらっています。限られた品揃えのなかから提案するのでなく、デルが持つ、もっとも幅広い製品群から提案できる強みもあります。

 日本でも、WorkStation Virtual Center of Excellenceを展開したいと考えています。いまでも、川崎とオースティンは、施設間が高速インターネットアクセスでつながっているので、リモートで利用することができる。日本でも既存施設を活用しながら、ローカルで検証できる環境を設置したいですね。

WorkStation Virtual Center of Excellenceをオープンの模様。日本では?

――今後、デルのワークステーション事業はどんな進化を目指しますか。

ローズ 引き続き、新製品の投入を行い、モバイルの新たな製品も投入していきたいですね。さらに、ユーザーエクスペリエンスの向上への新たな取り組みや、営業体制の強化、新たなパートナーとの関係構築といったところにも取り組みたいですね。

 技術進化という観点では、DPOの機能充実を図り、大手企業のIT管理者が使いやすい機能として提供することも視野に入れたい。ISV各社とのより強固な関係を構築し、とくにテクノロジーの観点からの取り組みを加速したいですね。4Kや5Kディスプレイを活用した取り組みも増えていくことになると思います。

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