前へ 1 2 次へ

「VAIO Phone」と日本通信の業績の行方

文●大河原克行、編集●ハイサイ比嘉/ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日本通信の業績の行方

 そこで注目されるのは、3月末締めの日本通信の業績の行方だ。

 日本通信は、2014年度第3四半期(2014年4月〜12月)の連結業績では、売上高は前年同期比12.8%増の35億2100万円、営業利益は53.8%減の1億6600万円、経常利益は37.7%減の2億2600万円、当期純利益は55.3%減の1億8600万円となった。

日本通信の、2014年度第3四半期(2014年4月〜12月)の連結業績

 だが、このときに据え置いた2014年度の連結業績見通しは、売上高は前年比33.5%増の62億3000万円、営業利益は70.1%増の12億3000万円、経常利益は69.3%増の12億円、当期純利益は28.3%増の11億3000万円。この第4四半期(1〜3月)だけで、売上高で27億900万円、営業利益では10億6400万円を計上しなくてはならない、きわめて大きな数字となっている。

 日本通信の三田社長は、四半期ごとの業績にはこだわらないが、通期の計画にはこだわる」としており、「これまでも通期計画については、大きなブレがなく達成してきた経緯がある。今年も失敗するつもりはない」と発言。この第4四半期に勝負をかけていた。

 実際、第3四半期の決算発表時点では、「VAIO Phoneの初期ロットに関する商談を積み上げていくと、通期の業績見通しが超えられると判断。その結果、通期見通しを据え置いた」(日本通信の福田尚久副社長)としていた。

 つまり、VAIO Phone次第で、2014年度の業績が左右されることになっており、その時点では、大きな数字が上乗せされる計算ができあがっていたというわけだ。

 福田副社長が「かなり慎重に見た結果」と何度も繰り返したことからも、この達成にはかなりの自信があったはずだ。

 それだけに、今回の市場の反応は気になる。

 今回のVAIOとの協業においては、日本通信側の在庫負担が大きくなる仕組みとなっている点でも、同社業績への影響が気になるところだ。BCNの調査によると、3月20日の発売日を含む最新販売実績では、わずか 0.1%の販売シェアに留まっている。

「VAIO Phone」の、もうひとつの重要な役割

 実は、VAIO Phoneには、もうひとつの重要な役割があった。それは、日本通信が1月29日に開催した定時取締役会において、JASDAQから東証一部へと市場変更を申請することを決議。その審査が現在進んでいるからだ。通期業績の未達は、この審査にも大きな影響を及ぼすことになる。

 VAIO Phoneの取り組みが、日本通信の今後のビジネス成長の足かせにならないといいのだが。


■関連サイト

前へ 1 2 次へ

過去記事アーカイブ

2024年
02月
2023年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2022年
01月
02月
03月
04月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2021年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2020年
01月
03月
04月
05月
06月
10月
11月
2019年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
11月
12月
2018年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
11月
12月
2017年
01月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2016年
01月
02月
03月
04月
05月
07月
08月
10月
11月
12月
2015年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
12月
2014年
07月
08月
09月
10月
11月
12月