お~いお茶はクリエイティブサポートドリンクだ!
シリコンバレーでの消費のされ方と茶ッカソン。
その様子から、Evernoteは伊藤園に「お~いお茶はクリエイティブサポートドリンクだ」と提案したと言います。これにはお~いお茶を売る伊藤園もびっくりしたとのことですが、今後、お茶の役割の再定義がなされるかもしれません。
何か面白いこと、世界を変えることを考えるときに、「必ずそばにある飲み物」としてブランディングしていくことで、何気なくコンビニに並ぶ緑のボトルが、とても重要な1本に見えてきます。
伊藤園は「クリエイティブサポート」というコンセプトを推し進めるべく、お~いお茶を飲んでいる人をシリコンバレーに招待して、クリエイティブを深めてもらうツアーも開催しました。
必ずしもテック系のバックグラウンドの人たちではなく、様々な人のクリエイティブさをサポートしようということで選ばれた10人。筆者もツアーに同行しながら話を聞くことができました。
お茶を通じたクリエイティブと文化の伝搬
茶ッカソンの聖地、Evernoteでは、同社の国際色豊かな社員との交流で、社内での異文化交流や、その中での日本に限らないお茶文化の広まり、また自社製品ができた以前・以後の生活の変化などを熱心に聞いていました。
またGoogleの巨大キャンパスを歩きながら、人々の働き方や食などにも触れ、それぞれの活動のための「取材」として手応えをつかんでいたようでした。
こうしたお茶を通じた活動は、食や習慣という、表層とは異なる文化の伝え方を実現するかもしれない、と非常に可能性を感じています。
実際すでにサンフランシスコ市内のティーハウスには、緑茶を「Green Tea」ではなく「Ryokucha」として売っている店も出始めました。その店では、茶葉を適温で丁寧に淹れてくれます。
クリエイティブさという姿勢や、お茶の心といった、無形の文化の行き来を実現する手段を、伊藤園は手に入れてしまったようです。 お茶がクリエイティブをいかに支えるのか。我々も考えてみると、身近なものから意外な発見を得たり、身近な文化からの気づきが得られるかもしれません。
伊藤園はお茶とクリエイティブの関係を、今後も同社のウェブサイト上(関連リンク)で伝えていくとのこと。日本だけでなく、世界に広がる活動になることを、一日本人として願っています。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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