このページの本文へ

日本は1Gbpsから25/40Gbpsに一足飛び?

サンプル出荷を開始!メラノックスが100Gbps戦略を説明

2015年04月01日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

3月31日、メラノックステクノロジーズ(以下、メラノックス)は100Gbps対応のEDR InfiniBand製品のサンプル出荷を開始した。日本での40Gbps導入はまだまだという状況だが、メラノックスは100Gbps対応のアダプターやスイッチをいち早く市場に投入し、データセンター市場を攻略する。

100Gbps時代の到来を告げる新製品がいよいよ投入

 メラノックスはInfiniBandやEthernetなどの超高速インターコネクト製品を提供するベンダー。HPC(High Performance Computing)向けのInfiniBandシリコンの製造・販売からスタートし、近年はEthernet製品も提供。VPI(Virtual Procotol Interconnect)のテクノロジーによりInfiniBandとEthernetを同じハードウェアでサポートする点が特徴となっている。

 今回サンプル出荷が開始された100GbpsのInfiniBandソリューションは2014年11月に発表されたもの。PCIeカードの「ConnectX-4 100Gb/s EDR InfiniBandアダプタ」、第7世代のシリコンであるSwitchIBを搭載した36ポートスイッチ「SB7790」「SB7700」、銅線、光ファイバなど「LinkX」のケーブル類から構成される。

100GbpsのInfiniBandソリューション

日本は1Gbpsから25/40Gbpsに一足飛びする

 製品発表会で登壇したメラノックステクノロジー社長兼CEOのエヤル・ワルドマン氏は、データ量の爆発により、よりリアルタイムなデータ伝送技術が求められていると指摘。メラノックスの100Gbpsソリューションにより、高い集約密度とパフォーマンス、コスト効果、拡張性を得られるとアピールした。

メラノックステクノロジーズ 社長兼CEO エヤル・ワルドマン氏

 特にデータセンターにおいては、データの増大により、サーバーの集約化が一層進んでおり、複数のコンピュートモジュールを単一の筐体に搭載した「マルチホストプラットフォーム」が主流になると指摘。実際、フェイスブックとメラノックス、クアンタが共同で作ったOCP(Open Compute Project)のマルチプラットフォームではコンピュートモジュールとConnectX-4のアダプタで構成されているという。こうした構成により、複数のCPUがNICを効率よく共用でき、高い集約効果が得られると説明する。また、幅広いCPUのサポートしているのもメラノックスの大きな売り。ワルドマン氏は、「x86はもちろん、IBM POWER、nVvidiaのGPUにも幅広く対応する」とアピールする。

 さらに同社のリファレンスアーキテクチャ「CloudX」の導入により、多くのクラウド事業者は50%以上のコスト削減を実現。また、Hadoop、MongoDB、Memcached、Redisなどのアプリケーションにおいて、従来に比べて2~4倍のパフォーマンスを実現しているという。

 日本ではYahoo! JAPAN、さくらインターネット、サイバーエージェント、松本協立病院、PFUなどのユーザー事例が公表されているが、米国に比べて遅れている状況があると指摘する。「米国では40GbEの出荷数が26万程度に伸びており、10GbEはすでに13万程度になっている。一方、日本では現状は1Gbbpsがメイン。今後は(10Gbpsを経ず)25Gbpsや40Gbpsに一足飛びに行くと考えている」ワルドマン氏は語る。

OpenStack、ネットワーク仮想化とも親和性は高い

 ワルドマン氏の後を受けて登壇したメラノックステクノロジーズジャパン ジェネラルマネージャの津村英樹氏は、「HPCで数十万のオーダーを受け、量産効果を出した後に、低廉なEthernet製品を提供できる。これによっても他社が追従できないコストパフォーマンスが大きなメリット」とメラノックスの強みをアピール。Ethernet製品に関しても、多くのスイッチで用いられているブロードコムのTridentチップに比べて、スイッチング能力やレイテンシー、消費電力の面で高いコストパフォーマンスを実現しているという。

メラノックステクノロジーズ ジャパン ジェネラルマネージャの津村英樹氏

 とはいえ、日本ではメラノックスはHPCのベンダーで、Ethernet製品がまだブレイクしていないのも事実。津村氏は、「日本ではまだ1Gbpsが多く、メラノックスが得意とする40や100Gbpsはまだ早いだろうという考えが多い」と分析する。

 しかし、津村氏はOpenStackやネットワーク仮想化などの分野で、ソフトウェア+汎用CPUによる処理が限界を迎えつつあり、メラノックスの強みが活かせると指摘する。「メラノックスのNICではVXLAN/NVGREをハードウェアで処理できる。サーバーのCPUに負荷をかけず、OpenStackやネットワーク仮想化を導入できる」と津村氏はアピールする。

「10Gbpsから100Gbpsに至るソリューションを揃えている。2017年を見越して、200Gbpsを実現する技術も持っている」とアピールするワルドマン氏。さらなる大容量化を目指して、次のチャレンジは始まっているという。

カテゴリートップへ