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佐武宇綺が聞いちゃいます オーディオのココが知りたいです! 第11回

日本で唯一レコードを作れる工場、東洋化成で“いい音”を探す (6/7)

2015年04月09日 09時00分更新

文● 編集部、聞き手●佐武宇綺

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レコードの弱点は同時に味にもなる

西谷 ここからレコード盤になると多少のピチパチが発生する可能性もあります。聴けば聴くほど摩擦で消耗していく。これは弱点でもあるんですが。デジタルメディアではこうしたことが起きませんから。

レコードの製造現場もちょっとだけ見ることができました。

佐武 とはいえ時間の経過や作られた時代に思いをはせることもできる。

西谷 そのときの音を感じ取れるかもしれないですね。

 アナログのレコードは最初の円盤型の記録メディアなんですね。CDやMD、フロッピーなどもその後、登場しますが。実際にアナログレコードに音をカットするときに、高域から低域まですべてを収録しようとすると、外側から内側に行くにしたがって、音が変化していくという弱点があるんです。特に高域は内側に行けば行くほどこもって聴こえてしまいます。

シングル盤やカラー版のレコードなどさまざまな種類のレコードが製造できるそうです。

冒頭で佐武さんが持っていた塊。それはレコードの材料、塩化ビニールでした。手に乗るぐらいの大きさで1枚分となります。

 もうひとつは収録できる範囲。人間の耳で聴くことができるのは、高音は20kHz、低音は20Hzと言われています。CDはこの情報すべてを収録できるのですが、レコードはこのすべてをカッティングして収録することができないんですね。だから必然的に、人間の聞こえる能力より狭い範囲しか収録されていないケースが増えます。だから優しく聞こえるという面もあると思います。

佐武 疲れないというか。

西谷 ハイレゾではこの聴こえない範囲の音も収録することができますが、それがストレスや疲れにつながる面も少なからずあるのではないでしょうか。レコードが心地よいと感じる理由のひとつかもしれません。

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