このページの本文へ

佐武宇綺が聞いちゃいます オーディオのココが知りたいです! 第11回

日本で唯一レコードを作れる工場、東洋化成で“いい音”を探す (5/7)

2015年04月09日 09時00分更新

文● 編集部、聞き手●佐武宇綺

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

カッティングが終わりました。それでは、できたてホヤホヤの原盤を聴いて見ましょう。

驚くほどクリアー、レコードのイメージと違う!

西谷 それでは、カットしたての音を聴いてみましょう。

佐武 え~、楽しみ~!!!!

できたばかりのラッカー盤は表面も美しい。

(レコードで再生された音を聴く)

佐武 パチパチ(拍手) ありがとうございました~!!! 私がイメージしていたレコードの音と違いました! 

西谷 本当ですか?

佐武 レコードというと、音的にはザラザラしていて、ノイズもすごくて、古い渋い音が出るというイメージがあったんですが、全然そんなことないんですね! きれいでした。

西谷 カットしたてなので、ジリパチというノイズはほぼゼロなんです。レコードは塩化ビニールという素材でできています。ここで聴いたのはカットしたばかりの原盤なので、実際のレコード盤とは材質が異なります。ただ、1回目に聴くのと、100回目に聴くのでは、針も溝も消耗していきますから、ジリパチという音が出てくるようになる点は一緒です。

佐武 つまりレコードは聴いていけばいくほど、ノイズが出てくるってことなんですね? レコードといってイメージする音は、聴き込んだものだからということなんだ。

西谷 はい。レコードが再生される場所では、レトロな雰囲気を演出するという意図があったりするので、レコード自体も古いものが使われたりするので、こういったノイズも増えてくるんでしょうね。

カッティングスタジオで作ったラッカーマスターから金属製のマスターを作り、凹凸が逆転したマザー、そして実際にレコードを作るための型となるスタンパーにしていく。

音量などを調整して、カッティングの工程に入っていく。

佐武 音楽自体聞こえ方が変わってくるわけですね。相当楽しいのでは。毎日少しずつ音が変わっていくということですもんね。レコードを聞き込んでいる人は2枚買ったりもしてるんでしょうか?

西谷 いらっしゃると思いますね。たとえばこの曲は日本で作られた盤、こちらはアメリカで作られた盤、内容は同じ。でも材料やカッティングした国が違うと微妙に音の変化があるんです。これを楽しんでいるリスナーさんもいると思います。

佐武 (絞り出したような声で)ぅわぁ~~~、すっご~いコアーーーー。

西谷 かなりマニアックな楽しみ方ですけどね(笑)。それと音楽好きでありながら、オーディオ好きの方も多くいると思うんですね。

佐武 オーディオもスピーカーひとつで違ってきますからね。でも綺麗な点にはびっくりしました。

カテゴリートップへ

この連載の記事

秋の「鉄板ヘッドフォン」購入ガイド

ピックアップ