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12年前のOffice 6と最新版Office 10.3を徹底比較!

本当に古くさい? サイボウズ Officeはこんなに進化していた

2015年04月13日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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スケジュールに次ぐキラーアプリを目指す「カスタムアプリ機能」

 スケジュール自体はコモディティ化してくるので、もはや他社との差別化にはしにくい。そのため、サイボウズでも長らく2番目のキラーアプリの開発が大きなテーマだったという。

 こうしたテーマを追求した末に生まれたのが、Web DBである「サイボウズ デヂエ」をベースにExcelライクなインターフェイスのアプリを自分で作れるようにした「カスタムアプリ機能」だ。「表計算以外でExcelファイルを共有するような用途をサイボウズOfficeに組み込み、自分たちでアプリケーションを作れるようにしました」(山田氏)とのことで、現在のkintoneのような自社専用アプリをサイボウズ Officeでも利用できるのだ。

前「サイボウズ Office」プロダクトマネージャーの⼭⽥祥司⽒

 Office 8のときは、プラグインのようにデヂエを組み込んでいたが、Office 9ではサイボウズ Officeのプログラムに統合。現在はカスタムアプリ機能としてトップメニューにも表示されるようになり、あらかじめ利用したテンプレートを使って、共有タスク管理、クレーム管理、安否確認、商談進捗管理、社内Q&Aなどにも活用できる。

 カスタムアプリ機能ではExcelライクな使い勝手を実現すべく、さまざまな工夫が施されている。「たとえば、ブラウザ上でセルの横幅変えたり、画面遷移せずに一覧から編集できたり、(レコードが下に伸びても)項目行だけ固定できるようになっています」(河合氏)。4月にリリースされる10.3では、今までやや“残念”だったグラフ機能が大幅強化され、縦線、折れ線などリッチなグラフを簡単に作れるようになった。また、表形式のインターフェイスでタスク管理が可能になっている。「トップページにタスクが表示され、チェックすると消えるようになっています」(山田氏)。

ストックされたデータを見やすく表示するグラフ機能

これがサイボウズのメール?強化点を見て驚く

 そして、最近強化しているアプリケーションの1つが「メール」だ。もともとサイボウズは社内利用を推奨しておらず、「No-Emailワークスタイル」を掲げ、見落としや宛先間違いが多く、整理も難しいメールの利用を見直そうというキャンペーンを張っていたこともある。こうした経緯でサイボウズOfficeのメールは他のアプリに比べて遅れていたのも事実だが、サイボウズ Office 10では使い勝手が一気に改良されている。

 以前のバージョンではメール、メッセージ、メモがまとめて「個人フォルダ」に振り分けられていたが、サイボウズ Office 10では他とは使い勝手の異なるメールのみが切り出された。「メール特有の一覧画面とかは個人フォルダでは難しかった。メールだけ強化しようと思うと、切り出した方がよかったんです」(河合氏)。画面遷移を伴わず、トップ画面の通知欄のみで簡易的な返信や振り分けも可能になった。

 独立したアプリとなったメールではS-JISをUTF-8にコンバートすることで、文字化けをきちんと解消。また、件名、本文という2ペインに加え、フォルダー、件名、本文の3ペインも選択できるようにした。「画面遷移をせずタイトルを見ながらメールをチェックできるので、一覧性は上がっています。メール本文の作成もポップアップで画面が立ち上がりますし、ドラッグ&ドロップでメールの仕訳もできるので、通常のメールクライアント感覚で使えます」と河合氏はアピールする。

2ペイン表示のみだったサイボウズ Office 6

Office 10では2ペイン表示に加え、3ペイン表示(右)が選べる

 さらに文字入力中に候補が表示されるインクリメンタルサーチにも対応。4月にリリースされる10.3では直近の選択が上位候補に上がるようになり、使い勝手はますます向上する。「辞めた社員の名前とかが候補に挙がらなくなった(笑)。リテラシーに関係なく便利な機能なので、積極的に取り込みました。Office 6からは考えられない使い勝手の向上だと思います」(河合氏)という。

サイボウズ Office 10ではインクリメンタルサーチも可能になっている

 細かいところだと、掲示板などに書き込んだメッセージに対して「いいね」が付けられるようになっているのも大きい。「『いいね』だけではなく、泣き顔とかも付けられる。ネガティブな感情表現だったので、機能として入れるかメンバーでもめたのですが、使ってみると『失注しちゃった』とか、『子供が病気になっちゃった』とか残念な気持ちを共有するのに意外と便利なんです。コメントの内容も設定で変更できます」(河合氏)とのことで、現場でも重宝する。

掲示板にコメントやいいねが付けられる

 コメント欄で紹介したメンション機能と同じく、SNSなどで使い慣れた機能をさりげなく追加し、ビジネスに役立つように強化しているところが実に興味深い。「サイボウズLiveやkintoneなどで先行して導入しているところの意見を参考にしています」(河合氏)とのこと。もちろんオフにすることも可能なので、現場の雰囲気にあわせて使い分けられる。

(次ページ、クラウド版の影響で強化されたファイル管理とモバイル対応)


 

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