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業界人の《ことば》から 第137回

ソニーと対照的に成長路線進むパナソニック、B2B重視が奏功

2015年03月31日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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方向付けが決まった点が、パナソニックの回復を裏付ける

 津賀社長が発表した事業方針において、回復ぶりを示すものひとつの成果が、すべての課題事業において、「方向づけ」が完了した点だ。

 赤字事業であったテレビ/パネル、半導体、回路基板、携帯電話、光デバイス、エアコン、デジタルスチルカメラの7つの事業については、3つの事業で2014年度中に黒字化するほか、テレビ/パネル事業においても、PDP事業の終息、LCD事業の「転地」を加速することにより、方向づけが完了。2015年度の黒字化を目指す。また、回路基板は事業を終息。2015年度も赤字が残る半導体、光デバイスも、「方向付けができ、やることが明らかになっている」とする。

 「2014年度中に赤字事業の方向づけが完了したことで、CV2015で取り組んできた事業構造改革は完遂した」と津賀社長は宣言。「構造改革効果や固定費の削減によって支えられた過去2年の収益構造から脱却し、2015年は、売上成長が増益を牽引する構造へと転換。大きく舵を切る年になる」と位置づけた。

1兆円の戦略投資も実施

 そして、もうひとつ見逃せないのが、「成長に向けた投資についても積極的に実行に移す」とし、今後、1兆円の戦略投資を行う計画を明らかにした点だ。

 これは、通常投資とは別枠に設定したもので、「非連続な成長を実現するためのM&Aや、成長を加速させるための積極的な研究開発投資、宣伝投資、マーケティング投資なども行う」という。

 2015年度には、通常投資の約2800億円に加えて、戦略投資として約2000億円を予定しているという。

 だが、その一方で、「過去には、大規模投資の多くが減損につながった。この反省を踏まえ、成長投資によって増加する資産にもしっかりと目を向ける。将来に負の遺産を残さない形で事業運営を行っていく必要がある」と、自らを戒める。

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