HBMを8個使うFijiは
パッケージがかなり大きくなる?
これで一番行方がわからなくなってしまったのが、R9 28xシリーズである。話は2種類あり、1つは既存のTongaベースのR9 285をそのままリブランドしてR9 380として出すアイディア、もう1つはFijiベースのサブセット版となるというアイディアだ。
後述するがFijiはかなり高コストな構成であり、実はサブセットが作りやすい。いまのところどちらを選択するか、あるいはそもそも380に相当するものを抜くかに関する確たる情報は皆無である。
最後にそのFijiの話をしよう。以前はハイエンドがBermudaでその下にFijiだったはずなのだが、最新の情報ではハイエンドがFijiということになっている。まだ詳細は不明だがシェーダー数は4096個に達するそうで、ほぼTahitiの倍である。
プロセスはTSMCの20nmで、動作周波数は相対的に低めに抑えられているようだ。現在揉めているのは、主にメモリー容量に関係する部分である。
前回のロードマップの最後に、HBM(High Bandwidth Memory)を使うかどうか不明と書いたが、これはHBMでほぼ決まりである。
問題はメモリー容量で、前回は2Gbit/4Hi構成の量産が始まる模様と書いたのだが、これがどうも遅れているらしい。したがって、1Gbit/4Hi構成のみが使われることになる。
さらに問題なのは、R9 390Xは最大8GBの構成があるとされることで、この場合HBMを8つ使う必要がある。HBM1個あたり128bit幅なので、合計バス幅は1024bitにおよぶ。
この信号線の数そのものは、それほど問題ではない。というのはHBMの前提として利用されるSilicon Interposer(GPUダイとHBMをつなぐシリコン基板)は1インチあたり数千本の配線が可能だからだ。
これはTSMCのCoWoS(関連リンク)という技術を利用しているが、そうはいってもHBMを8個搭載すると全体のパッケージがかなり大きくなる。これもあって、可能性としては以下の3パターンが考えられる。
- (1) 頑張って1個のFijiから1024本の信号線を出す(ロードマップの構成)
- (2) Fijiは512bit幅で、R9 390XはFijiを2つ搭載する(R9 295X2方式)
- (3) 信号線はやはり512bit。当初は4GB版のみで、8GB版は将来2Gbit/4HiのHBMの用意が出来たらリリースする
これもどれが正解かは現時点では判断つかない。個人的には(3)が一番ありそうな気はするのだが。というわけで、いつにも増して不確定なロードマップであるが、6月のCOMPUTEXのタイミングで正確な情報が判明するので、もう少々お待ちいただければと思う。
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