中国版PS4の本当の魅力は
ソニーが本気で製品を投入したこと
PS4の発売について、中国ユーザーの観点から見ていこう。
今回購入したゲーム目当ての消費者は、まず間違いなく中国で熱心なゲームファンだ。
そして、まだ購入していないが、今後の動向に注目しているゲームファンもいる。「ギルティギア」や「DRIVECLUB」がローンチイベントで発表されたが、中国でありがちな「ローンチ時しかソフトがリリースされない」というハードルは超え、ファンを一安心させた。
中国市場では、かつてのiPhoneがそうであったように、ゲーム機が日本や香港や米国から転売されて発売されていた。
しかも、中国国内の正規品より値段が安く、何よりタイトルが続々とリリースされ、発売済みの無数のソフトからゲームを選りすぐりができる。ゲームが遊びたい人は、日本版や米国版の発売日に転売された商品を買ってでもプレイする。
ソフトリリースが日本版・米国版より遅い中国版PlayStation製品の魅力は、一見すれば、タイトルが中国語化されただけ、と思うだろう。
しかし、違うのだ。ソニーが、初めて本気を出してワールドワイドなゲーム機を中国で発売したことに、中国ヘビーゲーマーの心が動いたのだ。マイルストーン的な製品を御祝儀で購入したヘビーゲーマーは少なからずいた。
実は中国でPlayStationシリーズが公式に発売されたのは今回がはじめてではない。中国版PlayStation 2をひっそりと試験的にリリースしてフェードアウトした過去がある。
任天堂は、ゲームキューブを販売している時に、現地企業「神遊科技(iQue)」から「神遊機」というNintendo64互換ハードを出した。だが、それは海賊版対策として、Nintendo64型のコントローラーに本体を詰め込みんだもので、不評であった。
中国版PlayStation4で心配された中国限定仕様はほぼなく、中国国外のソフトも遊べる。PSNでネット対戦もできる。
ただし、PSNで用意されたタイトルは、中国メーカーによる課金が酷いゲームや、子供向けとヘビーユーザーに酷評されるゲームばかり。PlayStationPlusについても、フリープレイのタイトルがあるわけではない。 PSNは日本の最新ゲーム事情をネットや雑誌で追う中国のヘビーゲーマーにとっては、いまのところ、ほぼ無用の長物である。
日本向け同様に“本気で”コンテンツや
サービスを提供してほしい
SCEIは今後も日本向けと同じボリュームで良コンテンツや良キャンペーンをコンスタントに提供し続ければならない。
中国のヘビーゲーマーは、中国のほうが日本向けよりも酷い課金体制だったり、ネットによる追加コンテンツが少なかったりすれば、すぐに外国版に乗り換える。その結果ソフトが売れず、ついては本体も売れなくなるという状況となる。
中国で提灯色抜きで製品が話題になるのは大変なことだ。その中国で、まずはローンチ時に朗報が伝えられるだけでも今の時点では成功だ。
買ったユーザーや買おうとしているユーザーも満足しているだろう。中国向けPS4の好評が続けば、ソニーはPS4やPS Vitaで「復権する」とまでは言わないが、規模の大小はあれ「盛り返す」だろう。
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