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プラットフォーム刷新に向けた決断とその次のビジネスを聞く

増改築からの脱却!ファーストサーバがサーバーを捨てるまで

2015年03月30日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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今までのレンタルサーバーは機能を付けすぎていた

 こうした経緯でYahoo! JAPANのクラウド基盤上に構築されたファーストサーバの新サービスの第一弾にあたるのが、まさにベーシックとも言える「Zenlogicホスティング」だ。

 Zenlogicホスティングは、リソースをコミットするレンタルサーバーの安定度と、IaaS型基盤のリソース可変という2つの特徴を持つ。でありながら、価格面では既存のレンタルサーバーと同等の1vCPU/1GBメモリ月額2970円~(12ヶ月契約時の税抜価格)という価格を実現した。

第一弾となるZenlogicホスティングの特徴

 村竹氏は、「今まではレンタルサーバーのサービスに機能を付けすぎていた。だから、サービス自体は極力シンプルにし、+αは人手でカバーできるように設計した。足りないところはカスタマーサポートを強化することで、補うことにした」と語る。このシンプルさというコンセプトは、サービス名にある“Zen”という名前にも現れている。

 サービスのポイントはいくつかあるが、重視したのは使い勝手。「コントロールパネルの使いやすさは特にこだわった。OSSの難しい面を出さないよう、操作できるよう工夫した」と語る。

中小企業の顧客が求めているのは必ずしもコスト削減ではない

 Zenlogicのターゲットは、同社の顧客基盤となっている100名以下の中小企業だ。IT専任の管理者が不在でありながら、ビジネスでがっつり使っているため、高い可用性が欲しいというユーザー層。ここのニーズをきちんと汲み取ろうというのがファーストサーバの戦略だ。

 そして、今後は「サーバーの区画貸しからサービス事業者に事業転換する」と謳うとおり、単なるホスティングから顧客のビジネスをサポートする新サービスを次々とリリースしていくことになる。「現状のZenlogicは安定性が高くて、リソースを可変できるというホスティングに過ぎない。他社との差別化ポイントが大きいとは言い切れない。しかし、私たちはこの先にお客様のビジネスを大きくするための支援をサービスに組み入れていく」(村竹氏)。

効率化したリソースをより上位のサービス開発にシフト

 こうした事業転換は、中小企業をターゲットにしていた同社にとって、実は必然的な変化だという。「われわれはお客様から見て、インターネットの入り口にあたる存在にも関わらず、そこから先のサポートはできるのにやってこなかった。レンタルサーバーのサービスはこうだと決めつけて、お客さんに押しつけていたところがあった」と村竹氏は反省する。こうした反省を元に、レンタルサーバービジネスの星取り表では表現できないような中小企業向けのサポート体制を4月以降大幅に強化する。

 では、中小企業の顧客はなにを求めているのだろうか? これに対して、村竹氏は「中小企業が求めているのは必ずしもコスト削減ではない。たとえば、顧客の売上増大に貢献する集客やIT活用を支援するサポートなどがあるだろう」と説明する。こうしたニーズに対しては、日本で最大の集客ビジネスをやっているYahoo! JAPANとのコラボレーション、ベンダーやサプライヤー、Web制作会社、ツールの紹介などが考えられるという。

 村竹氏が「今までのサービスが少し速くなったとか、安くなったという話ではなく、ガラリと変わっている。自信を持ってオススメできます」と語るZenlogic。2015年7月には移行ツールの提供が始まり、既存の顧客からのマイグレーションがスタートする予定となっている。

「今までとガラリと変わっている。自信を持ってオススメできます」(村竹氏)

 このようにレンタルサーバ業界の老舗であるファーストサーバが長らく溜め込んだ課題や矛盾を打破すべく生み出したZenlogic。クラウドに期待しながら、一歩を踏み出せない中小企業に最適な選択肢になるのではないだろうか? 次回は実際にZenlogicの開発や運用に携わったエンジニアの面々にお話しを聞いていきたい。

(提供:ファーストサーバ)

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