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新MacBookとApple Watchを知る 第21回

Appleイベント「Spring Forward」レポート - 「Apple Watch」編

2015年03月21日 11時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)、編集●ハイサイ比嘉/ASCII.jp

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Apple Watchの可能性を広げる「WatchKit」

 発表当初は基本機能の紹介に留まっていたApple Watchだが、半年を経てサードパーティ製アプリも充実しつつあり、できることが増えてきた感がある。これも「WatchKit」の効用だろう。このApple Watchが“時計以外”でできる最新機能の数々が米Appleのテクノロジー担当VPのKevin Lynch氏よりデモとして紹介された。

Apple Watchに標準で組み込まれた機能群と、この上にサードパーティが新しい機能を追加することを可能とする「WatchKit」の紹介

 Apple Watchでは、iPhoneほど満足なタッチ領域がないため、キーボード型のUIを採用するのが難しい。そこで助けとなるのが音声アシスタントの「Siri」だ。Siriを使ってApple Watchに問いかけることで、最新のニュースやメール確認、返信が行える。

Apple Watchの実演デモでは、Siriに現在のニューヨークの天気を聞く様子を紹介

 また同デバイスを使った対人チャットの例としてTencent(騰訊控股)の「WeChat」(微信)が紹介された。WeChatは中国で人気のチャットアプリで、主に中国国内での利用が中心だ。欧米で人気のアプリとはユーザーの嗜好が違うほか、それらサービスでは中国政府が設置した金盾(Great Firewall)を突破できないという事情もある。ここであえて最初のサードパーティアプリ紹介にWeChat紹介を持ち出すあたり、中国市場重視というAppleの姿勢が改めて垣間見える。

中国で人気のメッセージングアプリ「WeChat」でのやりとりの様子。これはローンチタイトルに含まれることを意味しており、いかに中国市場を重視しているかの現れでもある

「Apple Pay」に改めて言及

 Apple Payについても改めて言及された。「iPhoneとの接続なしで利用できるのか」「セキュアエレメントはApple Watchに内蔵されるのか」など具体的な仕組みは不明ながらも、実際にVerifone製の非接触通信対応決済ターミナルを近付けて決済が行われる様子が紹介された。

Apple Watchでは、Apple Payによるタップ&ペイにも対応

本来であれば非接触読み取り機に腕時計のほうを近付けるのだが、今回のデモでは読み取り機のほうを持ち上げて時計に接触させている

 スマートウォッチを決済に使う試みはここ最近増えており、現在はスイスのSwatchがVisaや中国の銀聯カード(China UnionPay)との協業でスマートウォッチ内に決済機能を持たせる計画が報じられて話題になっている。

 日本では読み取り端末に携帯をかざして支払いを行う「おサイフケータイ」がすでに認知されているが、海外では米国を中心にApple Payの登場でようやく認知され始めたばかりであり、いまだ小売店では決済の段階で携帯を見せて店員が戸惑いを見せることも少なくない。腕時計を見せられたらなおのことだろう。Apple Watchはこうした現状を変えられるのかが大きなポイントだ。

 このほかアプリとしては、Instagramで投稿写真一覧を見たり、気に入った写真にFacebookで「Like」したり、UberXで車を呼んだりと、「iPhoneを取り出さずに、こんなことができますよ」という点が紹介された。個人的に便利だと思ったもののひとつが、航空券や会員証のバーコード(QRコード)表示で、Apple Watchから直にPassbookのカードを参照できるため、iPhoneを取り出さずにすぐ使える点が大きい。ただし、赤外線リーダーの設置方向によっては腕を天地左右さまざまな方向に曲げたり、カウンターまで延ばさなければいけないわけで、あくまで補助的なものと考えていてもいいのかもしれない。

さまざまなアプリが用意されている。Instagramアプリで友人の写真を見たり、FacebookでLikeしたりできる

もちろん電話の着信対応やSMS返信も可能

UberXアプリでハイヤーを呼んでいるところ。このまま空港へと移動して、通知一覧からPassbookに登録した航空チケットのQRコードで搭乗も可能

フレンドリストでの選択画面。相手のイニシャル(Tim CookであればTC)が表示されるので、ダイヤルを回して相手を選択する

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