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ThinkPad、NECPC米沢工場から出荷開始、工場を見てきた

2015年03月18日 21時27分更新

文● 編集部

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2万種類の異なるスペックを最短3日で生産できる米沢工場

 NECPCの米沢工場では構成の異なる、2万種類のモデルを取り扱っており、最短3日の短納期に取り組んでいる。ThinkPadはオーダーしたその日から数えて、部品準備で1日、組み立てと検査で2日、配送で1日の最短5日の納品をアピールしている。現状では予約分のバックオーダーもあり、10日程度の納期が必要だそうだが、4月にはこの予約分の作業も完了。ライン調整なども実施し、4月のできるだけ早いタイミングで短納期を目指していく計画だ。

工場で働く職員を激励する、ラピン社長。年度末で残業などが多く大変な時期なのだそうだ。

 セル生産方式を採用しており、工場全体のキャパシティーとしては、5mほどの長さを複数人で担当するラインが最大60本あり、この増減で生産の多様性に対応している。生産規模としては、工場全体で最大1万台/1日、ThinkPadについては2つのラインを使用し、1日100台程度を出荷している状況だという。今後はオンライン販売する、ほぼすべての機種をカバーしていく計画だという。

工場の一角に設けられた、ThinkPad用の生産ライン。現状では2ラインのみだが順次拡大していく。

 ラインの特徴としては、トヨタ生産方式に学んだ改善に加え、ITの力を取り入れ、国内No.1シェアの維持を、生産能力の高さで後押しする。NECPCの製品に関しては毎日夜22時までのオーダーを受け付け、夜間に生産計画をまとめ、翌朝から生産に入る体制を組んでおり、上述した3日の納期を実現している形だ。

 オリジナリティーがあるところでは、ドライバーのゆれ防止用の独自の機構、手空きを防ぐリレー方式の採用、人間が動くのではなく棚のほうが動いて効率的にパーツを集められる自動化のシステムなどが上げられる。また誤りを防ぐために、ランプの光で人間をサポートするなどオートメーションでサポートする仕組みを取り入れている。

RFIDを活用して、部品やオーダーを管理。使用する部品などを間違いなくスピーディーに取り付けられるようにしている。

組み立てに使うドライバー。細かな話だが、単純に吊るすとブラブラして危ないし、とめる手間で時間もロスする。そこで、水道管を工作したストッパーをつけるなど、工場の人手で使いやすさを追求している(左)。また、パーツを収納している棚はボタンを押すと自動的に取り出しやすい位置に稼動してスライドする(右)。細かいがこういったことの積み重ねがラインを効率化するのだという。

トレーの上にわかりやすくおかれた使用部品。

 ThinkPadのラインに関しては、まだ2ラインと少ない。本体にマザーをねじで取り付けるところからはじめるなど、組立工程がLaVieより多い点などから納期が遅れているが、現場では残業や休日出勤などでフルに稼動しているという。

組み立てが住んだあとは、ラックの中でOSのインストールや検証プログラムが実行される。

ジョイントベンチャーは例外的な成功を収めた

 ラピン氏は、2月24日の米沢生産開始の発表後、需要を超えるニーズがあり、期待以上のスタートが切れたとした。ジョイントベンチャーについても、例外的な成功を得られたとし、日本の専門性とノウハウと、Lenovoの大規模で効率的なサプライチェーンがうまくかみ合った結果だとした。

 パイロット生産開始から、本格稼動まで時間がかかったが、これは組み立てに対するものよりも、オーダーからの商流の調整などに難しさがあったためだという。

作業中のThinkPadの生産ライン

生産ラインではまさにThinkPad X1 CarbonのJapan Limited Editionの生産が進められていた。

YOGAヒンジの部分がまさに組み立てられているのがわかる

 今回は「Engineering Japan and Manufacturing Japan」(日本で設計し、日本で生産する)というひとつの目標が実現した形となるが、米沢工場では5つのこれからも検討されているという。ひとつはSystem x サーバーの生産、R&Dチームを注進したLavie HZの米国出荷。ThinkPadの対応ラインアップを拡大し、Limited Editionを今後も企画。そして、米沢モデルの海外向け販売だ。

 特に最後については、Made in Japanの需要は他国からもあるとしており、SNSや直接の質問として海外のユーザーも熱視線を向けているという。

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