2万種類の異なるスペックを最短3日で生産できる米沢工場
NECPCの米沢工場では構成の異なる、2万種類のモデルを取り扱っており、最短3日の短納期に取り組んでいる。ThinkPadはオーダーしたその日から数えて、部品準備で1日、組み立てと検査で2日、配送で1日の最短5日の納品をアピールしている。現状では予約分のバックオーダーもあり、10日程度の納期が必要だそうだが、4月にはこの予約分の作業も完了。ライン調整なども実施し、4月のできるだけ早いタイミングで短納期を目指していく計画だ。
セル生産方式を採用しており、工場全体のキャパシティーとしては、5mほどの長さを複数人で担当するラインが最大60本あり、この増減で生産の多様性に対応している。生産規模としては、工場全体で最大1万台/1日、ThinkPadについては2つのラインを使用し、1日100台程度を出荷している状況だという。今後はオンライン販売する、ほぼすべての機種をカバーしていく計画だという。
ラインの特徴としては、トヨタ生産方式に学んだ改善に加え、ITの力を取り入れ、国内No.1シェアの維持を、生産能力の高さで後押しする。NECPCの製品に関しては毎日夜22時までのオーダーを受け付け、夜間に生産計画をまとめ、翌朝から生産に入る体制を組んでおり、上述した3日の納期を実現している形だ。
オリジナリティーがあるところでは、ドライバーのゆれ防止用の独自の機構、手空きを防ぐリレー方式の採用、人間が動くのではなく棚のほうが動いて効率的にパーツを集められる自動化のシステムなどが上げられる。また誤りを防ぐために、ランプの光で人間をサポートするなどオートメーションでサポートする仕組みを取り入れている。
ThinkPadのラインに関しては、まだ2ラインと少ない。本体にマザーをねじで取り付けるところからはじめるなど、組立工程がLaVieより多い点などから納期が遅れているが、現場では残業や休日出勤などでフルに稼動しているという。
ジョイントベンチャーは例外的な成功を収めた
ラピン氏は、2月24日の米沢生産開始の発表後、需要を超えるニーズがあり、期待以上のスタートが切れたとした。ジョイントベンチャーについても、例外的な成功を得られたとし、日本の専門性とノウハウと、Lenovoの大規模で効率的なサプライチェーンがうまくかみ合った結果だとした。
パイロット生産開始から、本格稼動まで時間がかかったが、これは組み立てに対するものよりも、オーダーからの商流の調整などに難しさがあったためだという。
今回は「Engineering Japan and Manufacturing Japan」(日本で設計し、日本で生産する)というひとつの目標が実現した形となるが、米沢工場では5つのこれからも検討されているという。ひとつはSystem x サーバーの生産、R&Dチームを注進したLavie HZの米国出荷。ThinkPadの対応ラインアップを拡大し、Limited Editionを今後も企画。そして、米沢モデルの海外向け販売だ。
特に最後については、Made in Japanの需要は他国からもあるとしており、SNSや直接の質問として海外のユーザーも熱視線を向けているという。