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新・機能性表示制度で「表示できます」と断言、その根拠は?

2015年03月17日 02時44分更新

記事提供:通販通信

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理系博士コンサルタント・栗山雄司のコラム
「販売重視型の健康食品OEM製造&原料開発」より

最近、新制度で「機能性表示できます」と断言する営業活動が業界によく見られます。問題などが起きて表示ができなかった時の責任は、どこがどう取るのだろうか? 怖いもの知らずだなぁと思います。信頼を失うだけなら良いですが、最悪、訴訟問題に発展します。

それも、理科系・学術系のエキスパートが断言するのではなく、文系のコンサル会社や企画会社が断言するので、信じられないケースもあります。ここ数回、システマティックレビュー実務の記事を紹介してきましたが、誰もができることではありません。実際、私の周りでも、有知識者の方がハードルの高さについて悲観的な見解を示しています。私などは、システマティックレビューや治験のプロトコール作りの実務もやっているので、やればやるほど自信がなくなることも少なくないです。

昨日も、同業の社長さんとディスカッションしましたが、機能性表示食品に利用できるめぼしい原料はピックアップできていますが、機能性表示できるかは「断定はできない」と言っていました。その通りだと思います。

ぶっちゃけて言うと、この段階で表示できると断言する会社ほど、危ない(信用できない)と考えられないでしょうか? 特に、条件なしで断言する会社さんは、制度を全く理解していないか、よほど悪徳な会社さんです。

私が慎重過ぎるのかもしれませんが、内容不十分で拒否された場合などのリスクを十分に考えなければならないです。機能性表示できると言い、顧客に届け出をさせたのは良いが、内容不十分で拒否されたり、取り消しを指導されたら、どこがどう責任を追うのだろうか?
とても大事な点です。今後、上手く行かなかった時の責任や対処法も含めて、顧客とコンセンサスを取っていく必要があります。

弊社などは、まず既存の顧客への対応が優先。だから、安易なことは言えないです。特に、私のコメントは、少なからず影響力があるので、不用意なことは言えません。

機能性表示食品だけが健康食品ではない。機能性表示食品は、単味処方に限定されるだろうから、大手さんの領域。お客様のためなので、甘いことは言わない。期待させ過ぎるのは罪。弊社のように、OEM案件のほとんどが中小企業という弊社の場合、新制度はあまり関係ない。関係するのは、主に原料ビジネスだけ。一方、広告規制は、厳しくなると思いますが、どの程度かを見極めながら動くしかないです。

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栗山雄司

■プロフィール
理系博士コンサルタント・栗山雄司
博士(水産学)、食品保健指導士、健康管理士。富山県滑川市出身。
(株)アンチエイジング・プロに所属し、健康食品の商品戦略と販売戦略のコンサルを行っている。

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