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最新ハイエンドオーディオ、本当のところ 第10回

ロックの里標築いた名曲の、女性名を冠したハイエンドイヤフォン

価格だけでなく音も本当にすごい「Layla」と「Angie」 (2/6)

2015年03月15日 17時40分更新

文● 編集部

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おそらく国内で過去最高価格のイヤフォン

 以上が「JH Audioの製品なのに、なぜAstell&Kernが売っているのか」という背景的な説明となる。ではLaylaとAngieのどこがスゴイか。順を追ってみていくことにしよう。

 まずは価格から。ともにオープンプライスだが、実売価格はLaylaが36万円弱、Angieが16万円弱。高級化が進んでいるイヤフォン市場においても目をむく金額となっている。特にLaylaについては、カスタムIEMや限定機種などを除いた一般向けでは最も高価な製品になるのではないか。

Layla。THE SIREN SERIESの最高峰モデル。実売価格は36万円弱。重厚なロックに合う男気あふれるサウンド。

Angie。Laylaの兄弟機となるが、そのサウンドはワイドレンジかつシャープで異なる傾向。ソースの情報量を忠実に再現する。

 スペック面で見たLaylaとAngieの特徴のひとつは、ユニット数の多さだろう。ともにバランスト・アーマチュア(BA)型ユニットを複数使ったマルチウェイ構成だが、その数は、Angieで8個(中低域各2基、高域4基)、Laylaに至っては12個(高中低域各4基)となっている。これは片側だけの数字だ(念のため)。

 最近では、ShureやUltimate Ears、そしてWestonの製品などもあり、マルチウェイのBAドライバーを内蔵したイヤフォンはそんなに珍しくなくなった。とはいえ、この数はすごい。これは“soundrIVe”という4つのBA型ドライバーを集めて小型化した独自ユニットを使っているからこそ。ただしこれだけの数ということもあり、本体はかなり大型になる。

正確な位相管理がこだわりのひとつ

 JH Audioの独自技術としてはもうひとつ“FreqPhase”がある。

 これは簡単に言うと、高域・中域・低域を担当する各ユニットから出た音をより正確に耳に伝えるための技術だ。各ユニットから出た音は、ステンレス製の導管を介して耳に伝えるが、その際、周波数帯域ごとに独立した経路とすることで、干渉によって音が打ち消されたり、位相が乱れたりすることを排除しようとしているわけだ。イヤピースの部分をじっくり見てみると、音の出る場所に、3つの穴が空いていることがわかる。

Angieのイヤピースの部分に注目。音の出る部分に3つの穴が空いていることが分かる。

 上記2点はRoxanne譲りのJH Audio製イヤモニの特徴であるが、LaylaとAngieはその後継機種としてより優れた再生を狙っている。

付属品。イヤピースは本体についているものを含み、6種類用意されている(写真はAngie)。最適なものを選ぶのが通常のカナル型イヤフォン以上に重要かも。

パッケージサイズの関係で置き方が違うが、Laylaにも大体同じものが付属する。

 なお、ユニバーサル型の本機では基本的に付属のイヤピースが耳の穴に合うかどうかで、装着感のよしあしが分かれることになる。耳への固定もそれなりに大変だ。個人差がある部分かと思うが、筆者の場合、密着感に少し不安が残り、遮音性もやや低めになる印象だった。高額商品でもあるし、できれば購入前にチェックしたいポイントだ。

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