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新MacBookとApple Watchを知る 第16回

Appleイベント「Spring Forward」レポート - 新「MacBook」編

2015年03月14日 11時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)、編集●ハイサイ比嘉/ASCII.jp

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新概念を次々投入した新型MacBook

 そして、いよいよメインディッシュのひとつであるMac新製品だ。まず新しいMac製品のイメージ動画が流れると、ステージ奥からCook氏が新型MacBookを手に登場した。従来のMacBook Air以上に薄型フォルムで、最近の同社のMac製品としては珍しいゴールドカラーの外観のモデルとなっている。その後に登場した同社ワールドワイドマーケティング担当SVPのPhil Schiller氏は、この製品の名称が「MacBook」であることを紹介し、ある意味でAppleの「ノートPC」の原点回帰ともいえる意気込みを持って開発された製品であることを強調している。

そして話題はMacへ。過去10年間に業界の成長ペースを毎年上回り、さらにここ最近はフォームファクタの多様化でノートPCに対するニーズが停滞する中、この差が大きく開いたとTim Cook氏は説明する

 同社が「Re-invent」(再発明)と銘打っているように、ユニボディ採用以降のMacBookがどことなくマイナーチェンジの繰り返しだったのに対し、新型MacBookでは非常に画期的な新機能や新機軸をいくつも精力的に盛り込んできている。

そして今回発表された新製品が、Cook氏が手に持つ黄金色に輝く薄型ノート。その名前は原点回帰ともいうべき「MacBook」に

本体は完全ユニボディのメタルケースで、MacBookシリーズとしては初の1kg切り(2ポンド)を達成

 そのひとつが新しくデザインされたキーボードで、フルサイズのキーボードをうたいながら、キートップのサイズは従来製品よりも若干拡大され、そのぶんキー間の隙間が小さくなっている。

新しいキーボードデザインを採用。フルピッチのキーボードを搭載しつつ、機構の改良でキートップの17%大型化と40%の薄型化を実現している

 キータッチのメカニカル動作部分も新技術が投入され、本体薄型でキーストロークが浅くなった違和感を消すように、キー全体が均等に沈み込む、機構がシンプル化された新しいものが採用された。

スイッチ機構も変更されており、従来のScissor(ハサミ)型に2つのパーツを組み合わせたものから、単体部品で圧力が均等に伝わるものが採用され、キーストロークが減少しながらも安定したキータッチを実現しているという

 さらに薄型化されたディスプレイは12インチと、従来の11インチ、13インチ、15インチのラインナップとは異なるサイズのものが採用され、解像度も2304×1440ピクセルと、やはり従来とは異なるピクセル数のRetinaディスプレイとなっている。

ディスプレイは12インチサイズのものを採用し、解像度は2304×1440のRetinaに。液晶部は0.88mmという非常に薄型のものを使用している

 今回新たに導入された概念が「Force Touch」と呼ばれる仕組みで、ユニボディ以降のトラックパッドが「押すと全体が沈み込む」という形で「クリックのオン/オフ」をスイッチで表現していたのに対し、新しいForce Touch対応トラックパッドは「感圧センサー」となり、「単純なクリック」と「強く押した状態のクリック」を区別することができるようになった。これはマウス操作のジェスチャーに新しいアクションが加わったことを意味し、例えばアプリケーションによっては「選択単語の辞書検索」「ファイルのプレビュー表示」といった具合に個別に動作を設定できる。使い方次第でいろいろ面白いことが可能だろう。

今回のMacBookで新たに採用された「Force Touch」機能に対応したトラックパッド。キーボードと同じくトラックパッドの「押し込む」スイッチ機構も変更されており、四隅の圧力センサーと専用の検出エンジンを搭載

「Force Touch」に対応したトラックパッドでは、従来のオン/オフの検出のみが可能なスイッチとは異なり、圧力検出が可能になっている。これにより、単純なクリックのほか、圧力で押し込んだ場合の「Force Click」という状態を検出できる

この「Force Touch」により、マウスカーソル操作に「強く押した場合」という新しいアクションが加えられる。例えばWebページの特定単語で「Force Touch」を行うとWikipediaで検索した情報をポップアップしたり、動画再生中に早送りボタンを「Force Touch」すると通常の2倍以上の速度で再生したりと、「左クリック」「右クリック」「ダブルクリック」「ドラッグ」といった動作に、新たに「Force Touch」用の動作を加えることができる

 本体の薄型化は非常に大きなポイントだが、同時にこれは「搭載バッテリ容量の減少」と「プロセッサの放熱問題」にもつながる。

 今回のMacBookは従来のIntel Core iプロセッサからCore-Mプロセッサへと変更することで、同シリーズとしては初のファンレス設計に対応し、さらにロジックボードの大幅な小型化でバッテリ積載量の増加に貢献している。

次は内部構造とロジックボードの話。従来のMacBook Airのロジックボードと新MacBookのロジックボードの比較で、新MacBookではプロセッサにIntel Core-Mを採用し、同シリーズとしては初のファンレス構造を実現している

ロジックボード自体も67%の大幅な小型化を実現しており、これが薄型化やバッテリ積載量増加に貢献している

 さらにバッテリ自体にも搭載に際して工夫が行われている。本来であればMacBook Airが採用しているような極端なエッジデザインでは本体中央部以外の内部容積が少なく、特にエッジ部に隙間ができやすい。MacBookでは専用のバッテリをデザインすることでこの問題をクリアし、エッジ先端までほぼ隙間なく本体内部を埋めることを可能にし、37%ほど容積率を上げているという。

ロジックボード小型化でバッテリ積載スペースが増えただけでなく、本体のエッジデザインに合わせて段差構造を持ったMacBook専用バッテリを用意し、エッジのギリギリまでバッテリを搭載可能にして35%ほどバッテリ容量増加に貢献している

Core-M採用と合わせMacBook Airの弱点といわれたバッテリ駆動時間の短さを解消し、MacBook Pro並みのバッテリ駆動時間を達成している

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