スマホで始める「音楽アプリ部」 第74回
スタートガイドが付いて難易度低いのもポイント
作曲だけじゃない、ライブ音源としても使えるiPad用DAWアプリ「BeatHawk」
2015年03月15日 12時00分更新
トラックパッドを鍵盤にして演奏も可能
音色を読み込んだら、トラックの「EDIT」と「ADSR」で細かい部分の調整をします。
EDITではGain(音量)やPan(ステレオの定位)など、DAWアプリでいうところのミキサーで行なうような操作が可能です。加えて、Pitch(音程の高低)やHP/LPFilterなどのシンセ的な要素、Reverb/Delayのエフェクターのかかり具合も調整できます。ADSRは一般的なシンセアプリのように、音色の立ち上がりから減衰までを操作します。
画面左端の「PITCH」をタップすると、トラックパッド部分が2段の鍵盤に変わり、トラックに読み込んだ音色を使って2オクターブの範囲で演奏ができます。
音程の幅は「OCT」の上下でC-2からB7までの範囲で設定が可能。ドラムキットやリズムループなどでも音程によってさまざまなニュアンスで再生されるので、例えば極端に低い音程でループを再生して重量感のあるリズムにする。あるいはドラムキットを高い音程で再生して効果音的に使ってみる、というのも面白いかもしれません。
使用する音色やループが決まったら、PADやPITCHでの演奏を「PATTERN」に演奏データとして録音していきます。
楽曲完成までの編集も自由自在
ひとつのパターンの長さは「LENGTH」の設定により1小節から16小節までを選択できます。画面右下端の録音ボタンをタップすると録音が開始されます。
LENGTHは録音を終えた後でも変更可能で、4小節で録音したパターンを8小節に変更すると、自動で最初の4小節を2回繰り返して再生してくれます。演奏や編集を間違えても画面左下隅の「UNDO」を押せば直前の状態に戻せるので、やり直しは簡単です。
ある程度パターンができたら、画面上部の「SONG」をタップし、ソングの制作に入ります。
画面左側の「PATTERNS」からパターンを選び、画面上段にドラッグ&ドロップしていきます。ドロップしたパターンの番号が表示されるので、どのパターンを使用したか一目でわかり、ソング全体の流れを把握しやすくなっています。
各パターンで使用されているトラックのミュートのオンオフをすることで、ドラムキットのキックだけを抜き出して再生したり、ベースラインのみをオフにしたりといった演奏内容の足し引きも可能です。
使い勝手、音の良さはライブ音源としても使える
基本的にはリアルタイムレコーディングを重ねて、パターンを制作していく形になります。ドラムループやアルペジオパターンがあらかじめ組み込まれている音色などが多くあるので、それらを組み合わせることで簡単にオリジナルのパターンが作れそうだと思いました。
音色自体の仕上がりもなかなか良く、音作りの面でもシンプルながら基本を押さえたコントロールが用意されています。MIDIキーボードなどを接続して演奏用のシンセ音源としても充分使えると思います。
リズムループを再生しながら、その上に別トラックにセットしたベースやシンセリードなどでフレーズをどんどん重ねていくようなソロパフォーマンスに使ってみるのも面白そうです。
エフェクターがReverbとDelayしかないので、ソング全体の雰囲気作りには充分なのですが、音色を作りこむには少し物足りなく感じるのは惜しい部分。3バンドのEQなどがあれば音質の補正的にも積極的な音作りにも生かせるので、音色だけでなくエフェクト周りを少し追加してもらえるとより楽しめそうだと思いました。
藤村 亮(ふじむら りょう)
1981年生まれ、Ibanez製7弦ギターを手に世界を渡り歩くロックミュージシャン。2006年にバンド"AciD FLavoR"の7弦ギタリストとしてメジャーデビュー。2008年よりベルギーのインディーズレーベルと契約し、"Ryo Fujimura"としてソロ活動を開始。ヨーロッパ最大の日本文化イベント"JapanExpo"や各国のJ-Musicイベントにゲスト参加した。2012年からは活動の幅をメキシコにも広げ、3度のライブツアーを敢行。さらに、2013年11月にはヨーロッパツアーを終え、2014年1月1日から一日一曲アップロード企画「Daily Sound Scape」をSoundcloud上で開始。
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