Googleクラウドらしいツートップの魅力をガッツリトーク
使いたければ使えば?ツンデレなGAEとBigQueryを語るの巻
2015年03月27日 07時00分更新
肝心のデータベース系はまだまだ弱い?
大谷:最近各社がしのぎを削っているデータベース系はどうですか?
得上:私は出たてのBigTable使おうとしてました。
大谷:ハイパースケールの列指向DBでしたっけ。
上田:データ容量が増えても、分割しなくていいし、性能が劣化しない。多少の制約はあるにせよ、SQLっぽいクエリができる。画期的でした。
吉積:うちの若いのは、普段からあれ使っています。もうRDBに戻れないと言ってますね。
得上:がっつりトランザクションがかかるもの以外は、それでいいんじゃないかと。
吉積:あと、GoogleにもCloud SQLありますが……。
上田:機能とパフォーマンス的にまだダメですね。
吉積:確かにあれだけはAmazon RDSと比較しても明らかに遅い。
上田:その点、AWSはMySQLとか、PostgreSQLもあるし、フルマネージドなので強い。コンポーネントの充実度が素晴らしくて、要件によって、欲しいモノはだいたいある。特にデータを持つところがいいです。Cloud DataStoreとかも個人的には評価してるんだけど、RDBじゃないので、使いにくい。データベースがしっかりしてると、安心して移れるんですけどねえ。
大谷:なんだかんだGAEとBigQuery以外は、あまり評価が高くないですね。
吉積:いや、アカウント管理がGoogle AppsとGmailと連動していて楽とか、WebブラウザでGCPにSSHでアクセスできるとか、けっこうすごくないですか?
得上:あと、下にコマンドライン用のツールが出てくるとか、パラメータをチェックできるとか。
大谷:なんか、ビミョーじゃないですか(笑)。
時代の先端を走り過ぎマーケットとずれるGoogleクラウド
上田:まあ、そんな感じでGAEとBigQuery以外は魅力が伝えにくいんです(笑)。個人的な感想なんですけど、Googleって自分たちで使うために技術を開発していて、それを小出しにサービス化しているので、一般ユーザーのニーズとちょっとずれてるんです。
吉積:そうです。まったくその通り(笑)。
大谷:GAEも最初はPythonだけ。あとからJavaとGoですからね。
上田:自分たちが欲しいから作ったので、要件合う人は使ってみればみたいにサービスを提供している感じ。
吉積:Googleが自社向けに作っていたHadoopも、論文が出た時はすでに違うものを使っている感じですよね。とにかく時代の先を行き過ぎていて、自分たちもそれについていかないとまずいと思っていたし、なかなかお客さんもついて来なかったんです。Google側も、「べ、別に無理して使わなくていいんだからね」という感じ。
得上:完全にツンデレですね(笑)。
吉積:ただ、最近はGoogleも営業体制増員したり、コミュニティ活動をしたり、普通にがんばってくれそうなので期待しています。
飲み屋トーク② 「BigQueryの対抗はRedshift?Aurora?」の議論
大谷:毎度恐縮ですが、BigQueryの対抗って、対抗馬はやっぱりAmazon Redshiftになるんですかねえ。
上田:Redshiftはイニシャルが高いですよね。規模がでかくなるとペイするんだろうけど。
吉積:Redshiftってどういう単位で買うんですか?
上田:インスタンス単位ですね。使っているコンピューティングリソースが増えると、裏で動く台数が増えるので、それの従量課金。
吉積:それって、一日中動いているDWHだったら、ペイする可能性があるってこと?
得上:そうです。だから、使いたい時だけ使うという感じだと、Redshiftはややオーバースペックになるんです。まあ、24時間稼働するDWHなんやねんという話はあるんですが。
吉積:BigQueryのような1分で返ってくるクエリを毎回流すんだったら、Redshiftの方がいいと。
得上:イイクラの第1回で言っていたAWSのAuroraがBigQuery対抗だという話も実はそこなんです。24時間稼働する時間を払い続けるのは無駄なので、使った分だけスケールして欲しい。それをできるのが自分としてはAuroraなんです。でもこの話をAWSの人に話しても、あんまりしっくり来てくれないようです。
吉積:なるほど。Auroraってそういうものなんですか?
上田:AuroraはインターフェイスはMySQL互換なんですけど、ディスクが分散なんです。10GBを超えたらタプレットが勝手に別のデータベースに分割され、ディスクが分散されるんで、パフォーマンスがそこそこ保たれる。
吉積:でも、BigQueryってどんなクエリ投げてもOKじゃないですか。AuroraのベースがMySQLなんだとすると、さすがにインデックスは貼らないといけないですよね。
上田:MySQLもインデックス貼らないでクエリできるじゃないですか。Auroraはストレージも分散しているし。
吉積:でも、カラム型じゃないじゃないですか。
上田:カラム型じゃないというのは、MySQLの下のInnoDBというエンジンがそうじゃないだけで、Auroraはストレージエンジンを自前実装しているはず。ただ、どう格納しているかはわからないんです。
吉積:なるほどー。そういう可能性もあるんだ。Auroraって、僕はトランザクション系のすごいやつだと思ってました。
得上:とはいえ、カラム型にするとトランザクションどうするんだという話もあるので。
上田:僕の予想だと、ストレージエンジンだけではなく、中身もMySQLじゃない気がする。APIを揃えているだけで。
大谷:AWSもMySQLのマネージドじゃなくて、そういうトガッタのが出てきて面白いですよね。
吉積:この2010年代にDBMSの新しいのが出てくるとは……。僕もAuroraは技術的に興味ありますね。
得上:ただ、もろもろは想像の域を出ないです。Auroraも、まだα版とか、そういう状態なので。
大谷:でも、想像するのが楽しいですよね。

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